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千石町地内出土の埋没樹木
(Buried trees at Sengoku-machi) |
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富山城下町南部にあたる千石町4丁目の千石町遺跡は、縄文・古代・中世・近世の集落跡です。 平成25年老人福祉施設建築工事に先立ち試掘調査を行ったところ、遺構は残っていませんでした。 平成26年工事前に地質調査を行ったところ、地下約6mに樹木数本が見つかったため、掘削して掘り上げられました。 |
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当センターでこの樹木の調査を行ったところ、コナラ属2本・クリ4本の自然木で、コナラ属のC14(放射性炭素年代測定)年代は約2300年前の弥生中期と判りました。コナラ属の年輪は150年以上を示していました。 |
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出土した埋没樹木 |
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埋没樹木の切断断面(コナラ属、年輪により
樹齢150年以上、AMS試料採取位置は表皮付近) |
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樹木には砂や礫が付着していたことから、これらの樹木は、洪水で流されてきた倒木と考えられます。根が比較的良好に残ることから、それほど離れていない位置に生育していたと推定されます。 |
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周辺における試掘調査の結果からみると、今回の出土地は、かつて河川洪水で深いくぼ地となった流路跡の部分であり、この地点のすぐ北側では、地表から30cmから50cmで縄文時代以降の生活面が存在し、高台となっています。流路跡は南西から北東方向であることから、上流側にある神通川からの水流と推定されます。 |
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旧地形復元図 |
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平成27年3月に行った高台の発掘調査では、弥生中期から後期の方形周溝墓群が検出されました。詳細は後日報告する予定ですが、ちょうど埋没樹木の年代、すなわち洪水の年代と一致します。 |
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現在、福島大学木村勝彦教授により年輪酸素同位体比による年代測定を行っており、その詳細結果が待たれます。この年代は、北陸における同測定で成果が欠落している部分であることから、本試料の研究結果は、北陸における年輪年代物差しの完成にとって、重要な意義を持つということです。 |
(古川) |

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