「養蚕」とは、良質な絹糸を作り出す「蚕」を育てる産業です。蚕と人間との関係は長く、弥生時代から養蚕がおこなわれたといわれており、江戸時代中期頃からは全国的に蚕糸の生産が盛んになりました。明治時代になると、養蚕業は製糸業と共に日本の産業の中心を担いました。この全国の養蚕業への波は、富山においても例外ではなく、八尾地域では、19世紀後半から養蚕業の土台が築かれ、後に「蚕都」と呼ばれるようになりました。また、当館は山田村で養蚕を営んでいた農家を移築して開館したという歴史もあります。
本企画展では、養蚕業がどのように行われていたのか民具を用いて紹介するとともに、養蚕業に関する信仰や富山の養蚕業の歴史、そして現代に続く養蚕業について見ていきます。