富山売薬のみやげ品はさまざまな種類がありましたが、江戸時代には版画が多く配られていました。売薬商人が年末に商売に訪れる際は、版画の図柄は暦や福神、正月の風物など、年始に向けたものが選ばれました。特に、縁起の良い七福神のうち、五穀豊穣・豊漁・商売繁盛をもたらす神とされる恵比寿・大黒が最も多く描かれています。
その中で、福神が農作業を行う姿など、人間の生活を模している図柄が見られます。お客様に少しでも身近に福を感じてもらいたい、福を届けたい、という売薬商人のサービス精神の表れとも見られます。
本展では福神さまのユニークな状況を描いた版画を集めました。人間味あふれる姿をお楽しみください。