江戸期の富山売薬で用いられていた薬は、売薬人の家や薬舗に伝来した和漢薬を中心とした製法で作られ、各地へ販売配置されていました。そのような薬には、多くの効能がうたわれていますが、頭に関する効能を第一に挙げている薬はあまり見られません。
しかし、万能薬的な薬には頭痛を含む効能が書かれています。一症状として起こる頭痛のための風邪薬や婦人薬は、富山売薬でも多く用いられてきました。また「首より上の薬」という薬もあり首より上というと頭の薬を思い浮かべますが、これはのぼせや便秘を治す薬でした。
明治期以降は化学製剤が中心となり、頭痛を主効能とする薬が製剤されるようになりました。配置売薬用の薬の内容は大きく変化し、薬の種類も増加していきます。
今回の展示では、薬袋や宣伝チラシから、富山売薬で使用された頭の薬の変遷を辿ります。売薬で用いられてきた様々な薬を知っていただく機会となればと思います。
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