安田城跡 歴史の広場

 
カキツバタ植栽試験 
令和5年5月12日、再整備に向けて安田城跡資料館で育てていたカキツバタの一部を、令和4年度工事で堀に設置した植栽試験設備に植え替え、植栽試験を開始しました。
この試験では、カキツバタと堀の水質の相性を確認したり、複数パターン(透水性U型側溝、栽培袋、防根シートなど)の植栽方法で生育状況を比較します。途中アメリカザリガニによる食害を受けるトラブルがあったものの、現在は予想以上に大きく生長しています。植栽試験は数年かけて行い、結果を実施設計に反映させる予定です。


①資料館前のトロ船から鉢を移動

②植栽前の試験設備

③植栽作業中

④作業完了
 
 
こちらも参考に 令和4年度カキツバタ植栽試験設備の設置
 
堀の浚渫(しゅんせつ)と護岸改修工事 
令和4年度に引き続き、堀の改修を行いました。令和5年度の工事範囲は、スイレンが大量に繁茂していた安田城跡資料館前の堀です。

浚渫では、堀の水を抜いた後、堀底の整備面を傷めないように重機用の仮設道を設置し、堀底に堆積した大量の泥を掘削しました。
安田城跡の堀は満水時も水位40cm程度の浅い堀ですが、スイレンの繁茂によって堆積した腐植土や地下茎は厚いところでは30cm以上もあり、工事中は堀内に泥の山がいくつもできました。

護岸改修は、令和4年度と同様、既存の木杭の手前に耐久性の高いプラ擬木材を設置して二重構造とすることで土留め機能を強化したほか、法面の土砂流出を防止するための植生シートを設置するなどの長寿命化対策を行いました。
また、 泥が隣の堀に拡がらないように、土橋の下を通る通水管の周辺に堰(せき)を設けました。

令和4年度からの変更点としては、浚渫後に搬出する泥や護岸に使用する固化材を環境により配慮した材料に変更したほか、背面で固定していた護岸のプラ擬木材を前面で固定できるように加工して、護岸の掘削を最小限とすることで施工時の遺構損壊のリスクを抑えました。

堀の改修は令和4・5年度の2年間で堀全体の4分の1程度まで進んでおり、今後も数年かけて堀の景観を取り戻していく予定です。

工事中は一部が立入禁止となりますが、資料館や工事エリア以外の広場は公開しております。
城跡散策とともに、水をたたえた堀が年々よみがえっていく様子をお楽しみいただければ幸いです。

繁茂したスイレンで覆われた堀の水面


木材が腐りボロボロになった堀の護岸


堀底にたまった泥や地下茎を重機で掘削していきます。
かなりの量です。



















数十年ぶりに堀底(整備面)が見えました!


木杭の手前にプラ擬木材や洒水シートを、
通水管部分には堰を設置しました。



水をたたえた堀が復活!


基部に固化材を添加した土を充填し、法面に
植生シートを設置しました。施設を長寿命化する
ために、様々な工夫を施しています。
 
再整備実施設計
令和6年度工事予定の浚渫及び護岸改修等について、実施設計を行いました。
 
再整備検討会議 
再整備検討会議を2回開催し、検討内容を設計や工事等に反映しました。
 
安田城跡再整備工事現場見学 
令和5年11月11日土曜日、歴史講座「安田城 -戦国越中を見つめた城-」の第2部として、「安田城跡再整備工事現場見学」を開催しました。

この行事は、再整備工事の現場を公開することにより、再整備事業の目的や内容等を知っていただくため、今回初めて実施しました。

工事中、工事エリアの立入は禁止となりますが、この時は特別に堀内に設置した浚渫用の仮設道内まで入っていただき、堀の改修工事で用いた材料や工法を近くでご覧いただきながら、再整備工事で取り組んだ施設の長寿命化や史跡保護への配慮等について説明しました。

参加者からは、屋内の説明だけでなく、実際の工事現場を見学することで、再整備工事についてより具体的に理解することができたなどの感想が聞かれました。