安田城跡 歴史の広場

 
堀の浚渫(しゅんせつ)と護岸改修工事 
堀の浚渫や護岸改修に着手しました。令和4年度は、堀の南側と漏水が頻発している東側の護岸改修を施工しました。

浚渫では、堀の水を抜いた後、スイレンの繁茂により厚く堆積した泥や根などを、平成2年度に整備した堀底面(改良層)まで重機で除去しました。

護岸改修では、長寿命化を考慮して、材料を木材から耐久性や景観性に優れたプラ擬木材に変更し、元々あった木杭の下部を埋設して残すことにより土留め機能の強化を図りました。法面には、土砂の流出防止のため植生シートを施工しました。
また、泥が隣の堀に拡散することを防止するため、土橋の下を通る排水管の周辺に堰(せき)を設けました。

再整備では、水堀で防御した安田城の姿をよみがえらせるとともに、公開・活用に適した状態を長く維持するための施設の長寿命化に取り組んでいきます。
堀内の仮設道上から泥を掘削
 


工事前(堆積土が水面から露出

工事後

工事前(漏水箇所をシートで応急処置)

工事後
 
 
水生植物の植栽試験設備の設置

U型側溝や栽培袋などを用いた試験設備

工事後(令和5年5月12日撮影)

再整備事業では、堀を彩る水生植物として新規にカキツバタ(在来種、県絶滅危惧種)を植栽する予定です。これに向けて、カキツバタを堀内に実際に植えて生育状況を調べるための試験設備を設置しました。

試験設備の構造や使用資材等の検討にあたっては富山県中央植物園から助言をいただき、透水性のあるU型側溝や栽培袋、防根シートなどを用いて、複数パターンで生育状況を比較できるようにしました。
U型側溝は、事前に別の場所で3ヶ月間水に浸して、カキツバタの生育に影響するアルカリ成分を溶出したものを使用しました。
土は荒木田土を使用し、緩効性肥料を底に入れました。

また、植栽試験設備の周辺には止水板を設置して、水位が低下した際、既設の地下水ポンプで汲み上げた水を貯水できる構造としました。

植栽試験は、令和5年度から開始して、試験結果は再整備実施設計に反映させる予定です。

こちらも参考に カキツバタ植栽試験
 
 
再整備基本設計
再整備の基本設計は、令和2年度と令和4年度の2回に分けて実施しました。
令和4年度は、小型サイン板の設置、土塁復元の修正、園路の改修、東屋の設置、野外模型の改 修、資料館の映像設備・展示の改修の設計を行いました。
設計では、平成30年度に策定した再整備基本計画に基づき、施設毎に最も適した材料・工法による設計仕様等を定め、図面化しました。
 
 
再整備実施設計
令和5年度工事予定の浚渫及び護岸改修等について、実施設計を行いました
堀の手前部分が令和5年度工事箇所
 
 
再整備検討会議
再整備検討会議を2回開催し、その結果を設計や工事等に反映しました。