安田城跡 歴史の広場

 
カキツバタの栽培と植栽試験 
(1)令和6年5月8日
①植栽試験(堀南側)
令和5年度に植栽試験設備内に植えたカキツバタが、植栽後、はじめて開花しました!
濃紫色の花びらの中心に白色の線が入るのが、カキツバタの特徴です。
5月8日現在、つぼみが40程度あり、これからの開花が楽しみです。
 
(2)令和6年5月15日
①植栽試験(堀南側)
開花のピークを迎えました。
葉の上にセスジイトトンボを発見。全長3cmほどの小さなトンボです。
 
②安田城跡資料館前 
安田城跡資料館前で、トロ船と鉢を使って栽培しているカキツバタが開花しました。

堀にある植栽試験施設の株と比べると小さく、
ゆっくりと生長しています。
 
(3)令和6年12月9日
①植栽試験(堀南側)
   
作業前 作業後
冬じたくとして、枯れた葉を除去しました。
冬の間、カキツバタは休眠状態となります。
 
(4)令和6年12月12日
①植栽試験(堀南側)
可動式の植栽方法を試すために、3サイズ(土容量24~50L)のプランターを用いた植栽設備を追加しました。
プランターの下には、スリットから外に伸びた根が堀底を傷めないように、波板を敷いています。

再整備での本格的な植栽に向け、よりよい植栽設備を模索中です。
 
 
 
再整備工事現場見学 
令和6年11月9日(土曜日)、安田城跡歴史講座の第2部として、安田城跡再整備工事現場見学を開催しました。

この行事は、再整備工事の現場を公開することで、再整備事業について皆様に知っていただくことを目的としたものであり、令和5年度工事から実施しています。

令和6年度の工事では、堀の浚渫(しゅんせつ)と護岸改修を行っています。(下図の水色の部分)

参加者は、重機の走行から既存の堀底整備面を保護するために設置した敷鉄板の上を歩いて、堀の改修状況を間近で確認したり、通常は見ることができない堀底からの角度で城を眺めたりしました。

近年、安田城跡では、侵略的外来種ともいわれるスイレンによる腐植土が厚く堆積して水面から露出し、本来の水をたたえた堀の姿が理解しづらい状態となっています。
見学では、工事で泥を除去してすっきりとした堀と、改修前の堀を現地で見比べることができ、参加者の中には「スイレンによってこれほど土が溜まるとは・・・。」と驚かれた方もいらっしゃいました。

30分間という短い時間ではありましたが、「再整備状況がよく理解できた。次年度も報告を聞きたい。」との感想もいただきました。
今後も再整備状況を報告する場を作っていきたいと考えています。
 
再整備工事(4年目) 
(1)改善点
堀改修3年目となる令和6年度は、これまでの工事状況を踏まえ、次の改善を行いました。
①堰(せき)の構造の変更
ステンレス板で開閉できる切り欠きを設けて、必要時に通水管を通じて堀底までの自然排水ができるようにしました。
②地盤安定シートの敷設
護岸沿いでは堀底の既設地盤改良層が軟弱化している部分が多くみられたことから、今後の維持管理や護岸の長寿命化のため、地盤安定シートを敷設しました。
③浚渫仮設道の施工方法の検討
堀内に設置する重機用の仮設道については、今後の工事の施工性・経済性を高めるため、
これまで同様の砕石敷のほか、敷鉄板のみの方法も試しました。
その結果、後者でも既設地盤改良層への影響が確認されなかったことから、今後の工事の
仮設道は敷鉄板のみとする予定です。
砕石敷の仮設道 敷鉄板のみの仮設道 
(2)再整備工事の効果
①堀全体面積の約37%の浚渫が完了し、周囲を水堀で防御した安田城跡の景観を取り戻しつ
つあります。
②改修を終えた堀では、護岸の漏水や陥没、底泥から発生する悪臭が解消されました。
③材料や工法に様々な工夫を施すことで、施設の長寿命化を図っています。
工事前 工事後 
④再整備工事による外来生物の減少
安田城跡の堀には、オオクチバスやウシガエル(ともに特定外来生物)、アメリカザリガニ(条件付特定外来生物)、コイなど、地域の生態系に悪影響を及ぼすとされている外来種が棲みついていました。

令和4年度の堀改修時、ブラックバスやコイを駆除したところ、天敵がいなくなったことでアメリカザリガニが繁殖し、令和5年度には植栽試験を開始したばかりのカキツバタが食害を受けました。
また、令和6年度には、100匹以上のコイの稚魚の群れが数箇所に確認されるなど、急激に数を増やす外来種の繁殖力の強さを思い知らされました。

しかし、再整備工事により、すみかとなっている堀護岸の改修や底泥の除去が進むにつれて、アメリカザリガニの確認数は減りつつあり、ウシガエルの大きな鳴き声も聞こえなくなりました。
またコイの稚魚は、再整備工事での堀排水時に多数のサギが群がり、捕食される様子が確認されています。

こうした外来種の減少も、再整備工事の効果の一つといえます。
 堀で捕獲したオオクチバス
(画像提供:魚津水族館)
 泥の中ににひそむアメリカザリガニ
 コイの稚魚の群れ
(3)その他
前述した工事に加えて、令和7年度予定工事(浚渫、堀護岸改修、土塁展示施設改修)
等の実施計画を作成しました。
作成にあたっては、学識経験者で構成される安田城跡再整備検討会議から助言・指導
をいただきました。