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城郭研究家として県内外でご活躍の佐伯哲也さんが作製した縄張り図(城跡の平面図)を2014年5月20日から10月5日まで、10月21日から2015年3月31日までの2回にわたり安田城跡資料館にて展示し、解説しました。 |
縄張り図を通して、飛騨の江馬氏や越前の朝倉氏など、戦国時代に活躍した各地の武将たちの城についてさぐりました。 |
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飛騨の城にまで範囲を広げた今回の展示について、縄張り図を作製した佐伯哲也氏に解説をしていただきました。
佐伯氏は、飛騨の江馬氏が越中に築いた中地山城・論田山城・薄波砦(富山市)の構造は本国の江馬氏城郭と似ており、これは自国の築城技術を導入することで新領土を完全に領有したいという強い執念の表れであると述べられました。
一方、三木氏が越中に築いた樫ノ木城(富山市)の構造は本国の城とは大きく異なり、越後の上杉氏城郭によく見られる畝状空堀群が存在します。
これについて佐伯氏は、三木氏は飛騨に多くの領土を持っているため、越中に領土的野心はなく、あくまで上杉氏が築城した樫ノ木城を軍役として守備していたにすぎなかったと読み解かれました。
各地の城の縄張り図を比較・検討することで、地域の知られざる歴史が見えてくることが分かりました。
会場は今回も満席状態で、解説会終了後も縄張り図をじっくりと観察する参加者の姿が見られました。 |
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(展示解説会 2014年6月4日) |
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今回の展示に関係し、「他国の城から自国の城を学ぶ」というテーマで、佐伯哲也先生に解説をしていただきました。
富山市婦中町にある山城の富崎城について、越前をはじめとした各地の守護・守護代の城の事例を参考にしながら、1.古代から道路などのインフラが整備され環境が整えられていた、2.宗教空間が存在した、3.山上に私的居住施設、山麓に公的行事を行う施設があったという仮説を述べられました。
文献・考古資料が少ない城の実態解明は難しいが、だからと言って何もしないのではなく、各地の事例との比較・検討を行いながら可能性を模索していくことが重要であると話されました。 |
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