貝層・居住域の調査(平成20年度)
 
新鍛治川改修工事に伴う工事立会調査を行いました。新鍛治川開削工事前の1971 (昭和46)年に富山県教育委員会が調査を行ったA地点(貝塚第2地点)に当たります。

改修工事は、現況の川幅を左右に幅約1m広げ、川底を約0.4m掘り下げる工事で大規模なものではありませんが、立会調査を行ったことで貝層範囲の再確認や埋葬人骨の再発見、初めて居住域の遺構を確認するなど大きな成果がありました。
調査位置図
調査位置図
   
貝層範囲と堆積状況
左岸(西)で幅約29m、右岸(東)で幅約15mであり、東に向かうほど幅が狭くなっていることが分かりました。1972年の富山市教育委員会のボーリング調査では、右岸道路東側の調査地点では貝層を確認しておらず、今回の調査とボーリング調査結果を総合的に考えると、今回調査区の右岸道路下に貝層堆積の(北)端部があるものと推測できます。
貝層の堆積状況(右岸)
貝層の堆積状況(右岸)
貝層は南の高台から北の谷地形に向かって斜め堆積している状況が確認できました。堆積の厚さは、最大で1.5mを測ります。ほとんどは、汽水性のヤマトシジミで堆積層を形成していますが、一部で淡水性のオオタニシが多く堆積している層も確認しています。堆積した貝類の中には極少量ですが、海水性のサザエ、イワガキ、ハマグリなども見られます。(動物遺存体「小竹貝塚の貝」 貝層の堆積状況(川底)
貝層の堆積状況(川底)
 
居住域の遺構
1971年調査A地点とB地点の間の高台には居住域が広がると推定されてきました。今回の調査で、高台に土坑や集石遺構などを検出し、居住域が広がることを確認しました。
集石遺構は、土坑に大量の赤く焼けた石が入っており、葉でくるんだ食物を焼石で挟み、食物を蒸し焼きにする石蒸し調理(アースオーブン)用の施設と推測します。
集石遺構
集石遺構
 
埋葬人骨
左岸南側の貝層縁辺部である谷地形の肩部付近で2体の埋葬人骨を発見しました。1971年調査A地点でも成人男性の屈葬人骨1体が見つかっており、貝層縁辺部は墓域としていたと考えられます。
(堀内)