貝層の断面剥ぎ取り
調査では、工事する排水路の断面に、縦1mほどの貝層が露出しました。
そこでこの状況を写真や実測図に残すだけでなく、貝層表面を部分的に現地から持ち帰り、保存するために、「剥ぎ取り」という作業を行いました。
この「剥ぎ取り」作業は以下のような手順で行いました。
準備
・トマックNS−10 ・使い捨て容器 剥ぎ取り場所
・刷毛 ・ゴム手袋
・寒冷紗(さらし)  
 
作業手順
1. 断面の清掃
剥ぎ取りを行う面をできるだけ平らになるように整えます。
 
   
2. 薬剤の塗布
トマックNS−10を使い捨て容器に移し、刷毛を使って、剥ぎ取り面に厚さが均一になるようにムラなく塗っていきます。
この時に、塗り残しがあるときれいに剥ぎ取ることができません。
薬剤の塗布
   
3. 寒冷紗(さらし)を貼り付ける
薬剤を塗り終わったら、適当な幅に切った寒冷紗(さらし)を貼り付けます。この時に、なるべく空気がはいらないように貼り付けます。
(複数の布を貼り付ける場合は、ある程度布を重ね合わせて貼り付けていきます。)
寒冷紗(さらし)の上から、さらに薬剤を均一に塗ります。この時、断面の凹凸などにもしっかりと寒冷紗(さらし)と断面が密着するように注意します。
寒冷紗(さらし)を貼り付ける
   
4. 乾燥
約3〜4時間放置して乾燥させます。
 
   
5. 剥ぎ取り
剥ぎ取り面と寒冷紗の接着具合を確認しながら、スコップなどを使い、上部から掘り込むように剥がしていきます。
剥ぎ取り
   
6. 洗浄
剥ぎ取った断面に付いている余分な土などを水洗いをして取り除きます。
洗浄
   
7. 乾燥
洗浄後、乾燥させて剥ぎ取り作業は完了です。
乾燥
   
川の中のぬかるんだ足場で、泥に足をとられながらの作業でしたが、きれいに貝層を剥ぎ取ることができました。
なお、この作業を行うにあたり、金沢学院大学美術文化学部文化財学科の中村晋也准教授にご指導をいただきました。
(秋葉)