豊臣秀吉は、関白に任官して間もない天正13年(1585)8月、世にいう「佐々攻め」を行いました。しかし、敵対する佐々成政を屈服させることのみが越中出陣の目的ではありませんでした。まず、一度は主として仰いだ織田信雄を「佐々攻め」の総大将に据えることで、上下関係の明確化を図ったことが挙げられます。また、越後の上杉景勝と自ら会見することで連携強化を狙うなど、この出陣には秀吉の政治戦略が多分に見出せます。このように越中出陣は、秀吉の天下統一事業のなかで、四国長宗我部攻めや九州島津攻め、さらには小田原北条攻めなどとともに、重要な戦略的意義を持っていたのです。
今回、県内外の各種資料から、10ヶ国からなる先遣隊をはじめとした総勢7万人余りにも及ぶ大軍を動員して断行した、関白秀吉による越中出陣の経過を紹介します。このことから、時代が秀吉による天下統一へと大きく動いていくなかでの、富山城の歴史的位置について迫りたいと思います。
なお本展は、当館のリニューアル開館5周年記念展として開催するものです。また、富山市博物館施設等連携事業「富山市の中世・近世」にも参加するものです。 |

チラシ表
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チラシ裏
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【主な展示資料】
織田信雄像(個人蔵・甘楽町歴史民俗資料館蔵)、豊臣秀吉像(岐阜市歴史博物館蔵)、豊臣秀吉書状(個人蔵・射水市新湊博物館寄託)、豊臣秀吉陣立朱印状(長浜市長浜城歴史博物館蔵)、伝佐々成政所用 采配、伝豊臣秀吉所用 唐冠形兜(護国八幡宮蔵)、晴豊公記巻五(京都大学総合博物館蔵)、銅鑼、三角水指(勝興寺蔵)、豊臣秀吉直書(長野県立歴史館蔵「今清水文書」)、豊臣秀吉像、金団扇、大坂城出土金箔押し鯱瓦片(大阪城天守閣蔵)、豊臣秀吉禁制(聞名寺蔵)、豊公遺宝図略(当館蔵) ほか
※会期中、一部の資料の展示替えを行います。(10月1日、10月16日)
【会期中の展示替え(展示期間)】
・晴豊公記 巻五(京都大学総合博物館蔵) 10月16日〜11月14日
・豊臣秀吉像(岐阜市歴史博物館蔵) 9月11日〜9月30日
・豊臣秀吉像(大阪城天守閣蔵) 10月1日〜11月14日
※展示室内では写真やビデオの撮影はできません。
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会期 平成22年9月11日(土)〜11月14日(日) 会期中無休
入館料 一般400円(320円)、小中学生200円(160円)
( )内は20名以上の団体料金 |

展示解説会 9月18日(土)、10月3日(日)、10月31日(日)、11月13日(土)
各日 午前10時30分より、14時30分より(各日2回開催)
申込不要・参加無料(入館料が必要です)

「秀吉 越中出陣」展をより楽しむ
特別公開講座「秀吉と富山」
これまで語られてきた「佐々攻め」と何が異なるのか…特別展のポイントを当館学芸員が分かりやすく紹介します。
日時:10月17日(日)午後1時30分〜3時30分
会場:富山市民プラザAVスタジオ
講師:当館学芸員
定員:先着80名(事前申込不要)
参加費:無料 |

展覧会図録
A4判 60ページ(内カラー36ページ)完売しました
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特別寄稿 藤田達生「関白秀吉の越中出陣−北国国分の歴史的意義−」
序章 秀吉と成政−織田信雄の天下をめぐる相克−
第1章 迫り来る佐々攻め−秀吉の軍事構想−
第2章 関白秀吉越中出陣也−成政降参と富山入城−
第3章 幻の秀吉・景勝会見−富山城破却の背景−
終章 秀吉出陣がもたらしたもの−前田と上杉の転換点−
総論 萩原大輔「「佐々攻め」を捉えなおす−天下人秀吉と富山城− |

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郷土博物館 常設展示
「富山城ものがたり」 展示室では、戦国時代に築城されてから、明治の廃城以後の城跡の変遷に至るまで、400年以上にわたる富山城の歴史を紹介しています。 |
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