9.考察(3)砂岩

Consideration(3)Sand-stone
 
砂岩は、薮田石やぶたいし太田石おおたいしなど氷見・高岡海岸部に所在する石灰質のものを除き、各地に普遍的 に存在する石材です。今回調査で、複数の種類の砂岩が利用されていることが明らかになりました。
1.新たに詳細がわかってきた「井波石いなみいし
庄川流域から神通川下流域にまで広域に分布しています。天保年間に金屋石 (凝灰岩)が採掘されるまで、金屋石 に先立つブランド品であったと思われます。担い手は庄川石工等でした。文献 資料が残されており、今後石切り場を探す調査が必要です。
2.常願寺川から上市川に存在する未命名の砂岩
原産地 は特定しておらず、この領域のどこかに存在すると思われます。今後の調査 が必要です。
分布域は井波石 や猪谷石より狭く、地域色の濃い石材といえます。
製作の担い手は、常願寺川石工 ・上市石工です。
石切場 が特定されれば石の名称を付けたいと思います。
3.猪谷石
神通川 上流産で、神通川中・下流域では右岸に主に分布します。東は2の地域にもわずかに広がりが見られます。担い手は神通川石工 ・常願寺川石工で、大型品は常願寺川石工による出張製作によるものも見られます。このような関係から常願寺川石工 の膝元でも猪谷石 が使われたのでしょう。
近年移住に伴う墓地 の移動で、当時の分布域と異なる場合が発生しており、注意が必要です。
(古川)