6.砂岩(1)猪谷石いのたにいし

Sandstone(1) Inotani-stone(Toyama cityi,Hida city)
 
神通川上流神通峡じんずうきょう、富山市猪谷から飛騨市神岡町横山にかけての一帯の山中には、砂岩の巨石が点在しています。2012年に猪谷石と命名しました。
神通峡の山中礫
神通峡の山中礫
石材の粒状は、細かい粒をベースとし、中粒の塊が部分的にみられます。石造物の多くは細粒の部分を使っています。大型品の場合は中粒の部分も取り込んで製作しています。
 
中世から多層塔たそうとう板碑いたびで使われ始め、近世には石仏・石碑に多く使われます。原産地付近では、燈籠とうろう狛犬こまいぬ社標しゃひょう手水鉢ちょうずばち等のほか、石垣や階段に多く用いられました。
 
帯磁率計測は、産地付近17件25石、周辺地15件19石の計32件44石を行いました。
全範囲計測値は、4から35×10-5SIで、うち5から20×10-5SIに分布が最も集中します。
 
石造物の分布は、産地周辺の神通峡に集中しています。
神通川下流域では、川から3km以内に分布し、また河口から約7km上流の富山城下町南側まで分布します。
このほか、わずかですが、神通川の西11kmの下条川げじょうがわ流域、東18kmの上市町大岩日石寺まで運ばれたものがあります
猪谷石の分布域
猪谷石の分布域
(古川)