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石川県小松市滝ヶ原町から産出する、石英粒を少し含む凝灰岩です。江戸後期から切出しが始まったとされ、石切場は滝谷口大滝丁場、西山丁場、本山丁場の3か所が確認されています。現在も稼働しているのは本山丁場だけです。 |
この石は、建築や墓石、寺社石造物に多く使われました。昭和20年代から30年代に最も栄えたとされます。 |
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各石切場における帯磁率測定を行った結果は次のとおりです。 |
本山丁場 |
(稼働中) |
30×10-5SI0 |
600から800×10-5SI |
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現在も稼働している本山丁場 |
肉眼観察では、母材は淡灰色で、暗緑色から暗灰色粒(凝灰岩質)・黒色粒(一部雲母)の混入物を密に含む。 |
西山丁場 |
(閉鎖) |
80から100×10-5SI |

滝ヶ原石西山丁場 遠景 |
肉眼観察では、母材は淡緑色で、淡緑色から緑色粒(凝灰岩質)・黒色粒を含む。石切場の規模が大きく、大型品を切出している。 |
大滝丁場 |
(閉鎖) |
100×10-5SI |
肉眼観察では、母材は淡灰色で、暗緑色から灰色粒(凝灰岩質)の混入物を含む。 |
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この他、石切場周辺に所在する寺社石造物に異なる値・特徴のものがあります。 |
滝ヶ原八幡社大鳥居(昭和19年) |
200から250×10-5SI |
肉眼観察では、母材は、淡灰色を主とし、黄色から淡桃色に縞状に変化する。緑色・灰色・灰色・淡桃色・淡紫色粒を多く含む。西山丁場のものに近いが、黒色粒を含まない。 |
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計測の結果、滝ケ原石石切場3か所の帯磁率は、80から100×10-5SIと600から800×10-5SIの範囲に分布します。300×10-5SIもわずかに含まれ、また製品には200から250×10-5SIのものがあることから、別の未確認の石切場の存在、あるいは既石切場における別の岩脈等が想定されます。 |
以上により、滝ケ原石の帯磁率は、全範囲計測値は80から800×10-5SIであり、うち80から100×10-5SI、200から300×10-5SI、600から800×10-5SIにデータのピークはあるといえます。 |
(古川) |
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