富山船橋は、富山城下町に入るための北陸街道が神通川を渡河する際、河川に架けられた船橋で、小型の木舟を並べてその上に板を渡し、人馬が通行できるようにしたもので、画期的な橋でした。
この船橋の両岸には常夜灯が置かれ、一晩中明かりが灯されていました。これは夜道の安全のための道しるべで、また、船橋を渡る際の起点終点の位置を示す上で重要な目印でした。
この常夜灯は、富山市舟橋北町4丁目4-18(左岸側)と丸の内1丁目1-4地先(右岸側)に残されています。 |
常夜灯は、笠・火袋・中台・基礎など主要構成部分が四角形であることから、四角型燈籠に含まれ、また竿は下開きとなる撥形竿をもつ神前形に分類されます。 |
各部位の高さ寸法は、基壇を除き、高さ寸法は両方ほぼ一致し、竿上部の大きさだけが異なります。
宝珠は、ややつぶれた形で、先端は小さく突出して尖ります。請花との間のくびれは円柱状で、丈が高い。請花は方形で、左右の辺は3段になっています。各面中央には逆ハート形の穴が開いています。
笠は軒反りで、軒端は厚く9cmあります。軒は南東隅だけが残り、ほかは欠けています。欠けた面には穴をあけて釘をさし、補修した跡がみえます。伝承では空襲で欠けたとされています。 火袋は四角形で、西面と東面は2段に彫った大きな火口を設けています。南面は円窓、北面は三日月形の貫通窓となります。
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表1 常夜灯の部位別高さ寸法(単位 寸)
部位 |
左岸側 |
右岸側 |
宝珠 |
20 |
20 |
笠 |
10.5 |
10.5 |
火袋 |
14.1 |
14.1 |
中台 |
8.2 |
8.2 |
竿 |
25.7 |
25.7 |
基礎 |
10 |
10 |
基壇(1段目) |
9.2 |
8.9 |
基壇(2段目) |
10 |
6.2 |
基壇(3段目) |
3以上 |
3以上 |
計 |
110.7以上 |
106.6以上 |
現況高 |
3.355m |
3.23m |
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竿に彫られた銘文は、正面とみられる西面に「常夜燈」、北面に「寛政十一歳初春」、東面は無銘であることが共通し、南面は、右岸側が「両宮伊勢太神宮」、左岸側が「金毘羅大権現」と彫られています。
基礎1段・基壇3段は切石で構成されています。 |