利長が金沢から連れてきた家臣たち(1)
 
「慶長十年富山侍帳」は、加賀藩2代藩主前田利長が、富山に隠居した慶長10年に、金沢から引き連れてきた家臣団を記したもので、その人数は640人に上ります。
この侍帳には、各種の職人や芸能民が記されています。

職人 竹屋、銀屋、鞘屋、紺屋(染物)、鍛冶屋、鉄炮屋、大工、塗師、畳刺、張付師(??)、壁塗、瓜作、御細工者、
芸能民 絵画、まひまひ

まひまひは、舞々まいまい(「三州志」ではこのように表記)とされ、曲舞くせまいの一種と考えられます。曲舞とは、散文的な詞章を歌いながら一人で舞う舞踊をいいます。宴席や神社に祭礼に舞車の上で舞ったとされ、代表的な曲舞には、徳川家康が好んだ幸若舞があります。この舞は陰陽道系の呪術的な意味をもった舞と解釈されていたことを示す中世史料も存在しています。
利長が芸術を好んだことを示す表立った記録はあまり知られていませんが、利長は絵や舞に興味を持ち、そのような芸能民も藩に抱え、一緒に富山へ引き連れてきたことがわかります。
(古川)