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初代藩主利次墓の墓前燈籠についてみてみましょう。
墓前燈籠は、利次墓の墓道に沿って左右に2基ずつ置かれます。墓道からはやや離れ、また他の藩主墓と異なり、拝所手前には置かれず、やや手前に置かれます。
燈籠は、4基とも「重臣ヨリ献灯姓名録」に示された位置とほぼ同じであり、ほぼ原位置に留まっているものと推定されます。
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燈籠は4基ともに同一の型式で、石材は結晶の粗い花崗岩です。笠・火袋・中台・基礎など主要な構成部分が四角形であることから、「四角型」燈籠に分類されます(京田良志1970年『石燈籠新入門』)。基礎下の状況が不明なため現状での全体高は255.8cm(8尺4寸1分)以上です。
各部位の高さ寸法は、表1に示したとおりです。基礎・竿以外は、5寸刻みの規格です。
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表1 墓前燈籠の部位別高さ寸法
(利次墓No.1から4) |
部位 |
cm |
寸 |
宝珠 |
40.5 |
13.5 |
笠 |
28.5 |
9.5 |
火袋 |
33 |
11 |
中台 |
25.5 |
8.5 |
竿 |
95 |
31.6 |
基礎 |
33.3以上 |
10以上 |
計 |
255.8以上 |
84.1以上 |
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【宝珠】 丸みをもち、先端が突出して尖る。請花は丸みをもち、先端は外反する。主弁6+間弁6の計12弁である。
【笠】 軒反りがなく、起り(むくり)形で、高さがある。軒端は厚く7cmを測る。
【火袋】 2段に彫った大きな火口を左右に設ける。正面は円窓を設ける。外形は径6寸4分で、2段に彫り、貫通する円窓径は5寸である。対面は三日月形の貫通窓となる。外形は径6寸4分の円形である。内部は平坦に整形している。幅は34cmで、竿径よりわずかに大きい。
【中台】 上の火袋受座は無文無段、下端の蓮弁(請花)は、単弁で、主弁8弁×2段+間弁8弁の計24弁である。主弁の先端は外反する。
【竿】 断面円形で円柱形となる。直径は1尺1寸(33cm)である。節は上下端と中央に存在する。2本の溝を巡らし、中央の中節を断面半円形としており、かなり退化した形態である。
【基礎】 方形の基壇と一体になっている。反花は単弁で、主弁8弁×2段の計16弁となるが、蓮弁間を小花とみるむきもある。上段の蓮弁はぶ厚く、先端が丸みを帯び、先割れしている。下段の蓮弁は先端が尖り反り上がっている。基壇部は無文である。
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(古川) |
利次墓前燈籠実測図 |
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