富山藩主 前田家墓所 長岡御廟所の調査
4.墓所の石造遺物
(1)墓前燈籠
2.墓前燈籠の現状
 
明治期の改修と昭和30年代以後の墓地開発によって、墓前燈籠の位置も一部変更されました。以下、旧状と現状とを比較して、変更の内容を把握してみます。

(1)西群墓所
比較した結果は表1です。
利隆墓・利友墓・利幸墓で6基減、利幹墓で4基増、差引き2基の減となっており、計10基が移動しています。29基はほぼ原位置に留まっています。
表1 西群墓所の墓前燈籠
藩主墓 絵図による墓前燈籠数 現状での墓前燈籠数 移動した墓前燈籠数 変更内容
利次 4 4 0  
利隆 6 4 -2 東の2基が不在
利謙 2 2 0  
利保 12 12 0  
利友 7 6 -1  
利幹 2 6 4  
利幸 7 4 -3  
40 38 -2  
(2)北群墓所
比較した結果は表2です。
北群では「重臣ヨリ献灯姓名録」と比較すると、多くの移動が確認されます。これは墓域の変更、特に墓前側が縮小されたことによって生じました。原位置に留まるのはわずか6基です。
西群→北群計56基の墓前燈籠が存在していましたが、現在は54基で、2基の所在が不明となっています。
また、原位置をとどめているものは39基とみられ、3割以上が移動しています。なかでも北群は63%が移動しており、原位置への復元が困難となっています。
表2 北群墓所の墓前燈籠
藩主墓 絵図による墓前燈籠 現状での墓前燈籠 移動した墓前燈籠 変更内容
正甫 4 5 4 南北列が東西列に変更等。
前田利昌寄進灯篭1基は移動
利與 4 3 3 1基不在。墓前の2基位置移動
利久 4 4 2 2基が位置移動
利興 4 4 2 3基が位置移動
16 16 11  
(古川)