土屋根竪穴住居、茅葺高床倉庫の復元
 
平成11年4月にオープンした北代縄文広場では、土屋根竪穴住居5棟と茅葺高床倉庫1棟を実物大復元しています。
 
北代遺跡の発掘調査(第70号住居)で、屋根に粘土(赤土)が使われた縄文時代の竪穴住居跡が発見されました。 第70号住居の発掘調査
この発掘調査成果を基に、土を屋根に被せた竪穴住居として、復元しました。 竪穴住居の位置はこちら
復元に際しては、縄文時代をイメージできるよう、現代資材を極力採用しないこととしました。 竪穴住居の作り方
 
オープン当時は土屋根竪穴住居の復元例がほとんどありませんでした。
 
週に3回、半日程度、土屋根竪穴住居内で(まき)をたき、煙で屋内を(いぶ)す作業をオープンから行っています。この燻し作業は、屋内の除湿や防虫効果があり、また住居から煙が立ち上る風景により縄文時代を身近に感じることができます。
 
茅葺高床倉庫は、発掘調査成果を基に民俗建築学の研究成果を加味して復元しました。
蕎麦の花と竪穴住居
夏の縄文広場
 
 
 
 
土屋根竪穴住居における問題の顕在化
 
比較的早い段階から、雨などにより水分を含んだ屋根土から生じた湿気が屋内に溜まりました。それが一因となり、屋根を支える主柱や縄などの建築材が菌の作用で腐朽して柔らかくなったり、木材加害昆虫に食べられたり、折れたりして、竪穴住居全体の強度が低下しました。
 
 
 
 
平成15年度、平成18年度の
土屋根竪穴住居の修理
 
宮野秋彦氏(建築環境学)の指導を得て、土屋根の排水能力と屋内の調湿能力を高めるため、第1号住居と第13号住居、そして第70号住居の土屋根に現代資材(防水シート、調湿建材)を埋込む修理を行いました。なお、防水シートは有限会社チャンピオン化成(栃木県栃木市)から、調湿建材(ヒューミライト)は日本インシュレーション株式会社(大阪市)から提供していただきました。
修理の結果、床下や壁面からの水や湿気の流入量が減りました。
修繕の詳細はこちら! 富山市考古資料館報 41
「北代縄文広場竪穴住居の修繕について」
  (PDF、385KB)
 
 
 
 
平成19年度の土屋根竪穴住居の修理
 
地下水位が高い位置にある第1号住居と第13号住居では、平成15年度の修理後も床下や壁面からの水や湿気の流入が続いていました。そこで、宮野秋彦氏(建築環境学)の指導を得て、地元産の粘土および川砂や消石灰を使って第1号住居の土間タタキを行いました。
 
1次締固めの様子
  2次締固めの様子
胴突きによる締固め   カケヤによる2次締固め
 
その結果、床下からの水や湿気の流入量は変わりませんが、土間表面が早く乾燥することがわかりました。
 
完成
 
A工区
土間タタキ完了   表面の様子
 
ただ、タタキを行っていない腰壁からは雨水の流入や湿気の浸出があり、大雨の際に流入した水がタタキ土間に滞水するようになりました。このような場合は、バケツで水をくみ出し扇風機を使って乾燥させています。
 
 
 
 
本格的修理の着手
 
平成22年度から土屋根竪穴住居や茅葺高床倉庫の長寿命化を目的として、国や県の指導を得るとともに考古学以外の諸分野の専門家によるプロジェクトチーム(「史跡北代遺跡復元建物修理検討専門家会議」)を組織し、本格的な修理を開始しました。