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故郷富山で創る、新たなカタチの演劇。

画像:漁港を取材する様子

オール富山企画の第2弾公演「笑顔の砦'20 帰郷」
のために市内の漁港を取材する様子

大学で演劇の面白さに目覚める。

 演劇と出会ったのは大学生の時でした。通っていた大学は1年次が全寮制で、クリスマス会で演劇をやることになったんです。みな未経験者でしたが、やってみたら面白く、仲間と演劇部を立ち上げました。その後、在学中に「庭劇団ペニノ」を結成。若手の登竜門である演劇フェスティバルでの大賞受賞や海外ツアー公演などを行ううちにのめり込み、大学卒業後は精神科医として働きながらも演劇活動を続けていました。
 転機となったのは、東日本大震災です。「人生は短い。それならやりたいことをやろう」と演劇一本でいくことを決意しました。もちろん精神科医としての経験は演出や脚本を書く時にも生かされていて、どちらも人物を客観的に掘り下げていくという点で通ずるところがあると感じています。

演劇を人が出会う場に。

 演劇はハードルが高そうな印象かもしれませんが、実はどんな人でも気軽に参加できます。見る人は減っていても、やりたいという人は少なくありません。それなら演劇と人が集う場「ミーティングポイント」と考え、見る人より参加する人を増やす方が面白いのではないかと2016年に 岸田國士戯曲賞きしだくにおぎきょくしょうを受賞した頃から考えるようになりました。
 そんな時に、オーバード・ホールから富山で演劇プロジェクトのお話をいただきました。せっかくなら誰でも自由に参加できるように、キャストも美術スタッフも“オール富山”で募集しました。経験は必要なく、気軽にいろんな人が集い、一緒にひとつの演劇をつくる。そんな新しい形のプロジェクトに、年齢も職業も様々さまざまな約100人もの希望者が集まりました。
 いざ始まってみると、誰もが能動的に行動し、富山の人でなければ分からない細かなところまでリアリティを突き詰めていて、これはすごいと。演劇にこんなに多様な人々が集まれると分かっただけでも大きな収穫でしたが、何よりプロだから、素人だから、という壁を全く感じさせないクオリティの高さに驚きました。特に、美術舞台はプロが造るよりもはるかに素晴らしかったですね。目指している新しい演劇の形を、故郷富山で実現できたことが本当にうれしかったです。

画像:タニノクロウさん プロフィール

オーバード・ホール 中ホールで舞台を見つめるタニノさん
タニノクロウさん
富山市出身。元精神科医という異色の経歴を持つ劇作家、演出家。「庭演劇ペニノ」主宰。2016年に第60回岸田國士戯曲賞受賞。2019年よりオーバード・ホールと共につくる「タニノクロウ×オール富山」がスタートする。

オール富山で新たな舞台に挑戦。

 僕は、人と関わることや、それによる化学変化みたいなものが好きで、富山での滞在中はよく飲みに出かけます。そこで出会う人や言葉は作品にも反映されていますし、偶然僕と出会って、演劇に興味を持ち始めたという人が増えたらいいなとも思っています。
 来年1月には、オール富山企画の第3弾「ニューマドンナ」の上映をオーバード・ホール 中ホールで予定しています。これまで女性を中心とした作品を書いたことがないので、女性の視点や心理を富山のみなさんと一緒に発見し、アイデアを出し合いながらつくり上げていきたいです。

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 この連載では、富山で活躍するさまざまな方の「アメイジング(驚くほど素敵)」な富山について掲載します。
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