本特集では、SDGsの達成に向けた市の取り組みについて紹介します。
「SDGs」は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略で、「貧困の撲滅」「教育の向上」「エネルギーの有効活用」「気候変動対策」など、2030年までの達成を目指した17の目標です。
「SDGs未来都市」に選定されている富山市は、よりよい未来の実現のため、さまざまな取り組みを推進しています。
本市は、これまで東南アジアを中心とした諸外国と国際連携事業を行ってきました。本市の環境施策や市内企業が持つ技術を国際的に認知・展開させることで、開発途上国の経済成長や生活の質の向上に貢献しています。
国際的な信用を高めることで、シビックプライド(わがまちへの愛着や誇り)の醸成につながり、市内企業の海外進出による事業の拡大により、雇用機会の増加や地元経済への波及効果も期待されます。
富山市内の企業と連携し、それまで無電化地域であった棚田の用水路に、4基の小水力発電システムを設置し、街灯や集会場の電気として使用されています。
富山市内の企業と連携し、公共バス72台のエンジンを、よりクリーンな天然ガスでも走行可能なハイブリッドエンジンに改造するプロジェクトを完成させました。
現地の大学と連携し、慢性的な農業用水不足解消のため、太陽光発電を活用した揚水ポンプの導入プロジェクトを、富山市内の企業の施工により完成させました。
本市は、国際会議でまちづくりや環境に関する取り組みのPRを行っています。イギリスで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)のサイドイベントでは、本市のエネルギー政策について、藤井市長がビデオメッセージを発信しました。
また、COP26に向けて日本政府が制作した「国際貢献」をテーマにしたPR動画では、本市の海外都市との都市間連携事業が取り上げられました。動画は、欧米の主要メディアでテレビCMとして放送されました。
ビデオメッセージを発信する藤井市長
「国際貢献」をテーマにしたPR動画(YouTube)
「エコ通勤」とは、通勤手段をマイカーから、環境にやさしいエコな通勤手段(電車やバス、自転車、徒歩など)へ転換する取り組みです。市では、SDGsの推進に向け、コンパクトなまちづくりを引き続き進めることや、脱炭素社会に向けた取り組みの1つとして、エコ通勤を推進しています。
富山市役所では、職員を対象とした月2回のノーマイカーデーの実施や、とほ活アプリの推奨による公共交通の利用促進などに取り組んでおり、令和3年4月には「エコ通勤優良事業所認証(※)」を取得しました。
さらなる公共交通の利用促進のため、地元の企業に対してエコ通勤の啓発活動を行い、令和3年10、11月には、新たに市内の4つの企業が、「エコ通勤優良事業所認証」を取得しました。
(株)大和 富山店
店長
平成30年から一段ギアを上げてエコ通勤に取り組んでおり、令和3年10月に、「エコ通勤優良事業所認証」を取得しました。
従業員に対する、ポスターやメール、社内放送での呼び掛けのほか、市が推進する「とほ活」イベントの店内実施、「ノーマイカーデー」への参加などで、健康づくり=「歩く」ということを意識付けし、現在は、従業員の4割が公共交通で通勤しています。
今後は、公共交通での通勤者を5割に増やすことを目標に、独自のノーマイカーデーや特典などを設けながら、継続して従業員の意識改革と全員参画に取り組んでいきたいと思います。
プラスチックごみによる海洋汚染は、世界中で深刻な問題となっています。富山湾でも多くの海洋ごみが確認されていますが、その約8割が陸から川を通じて流出していると考えられています。市では、SDGsの目標にも掲げられている海の豊かさを守るため、平成31年3月に日本財団と海洋ごみ対策に係る連携・協力協定を締結し、共同で取り組みを進めています。
がめ川の網場
海洋プラスチックごみの流出を抑制するため、市内を流れる準用河川や農業用水に「網場(あば)」を設置し、ごみの分析を行うとともに、網場の効果や影響について調査しています。
※「網場」とは、河川を流れるごみをせき止める、浮きのついた網のことです。
ラッピング電車
市民の問題意識を高め、具体的な行動につなげることを目的に、「海洋ごみ削減」の啓発デザインの路面電車へのラッピングや、「海ごみゼロ」のメッセージの富山城への投影を行いました。
また、海洋ごみについてのパネル展を定期的に開催し、普及・啓発を行っています。
SDGsの実現には、私たち一人一人の小さな心掛けや行動が不可欠です。市では、SDGsを市民の皆さんに理解し、行動してもらうため、さまざまな取り組みを行っています。
地域・職場などでSDGsを広め、自ら実践する「富山市SDGs推進コミュニケーター」の養成を令和2年度から開始し、養成講座や交流会の開催、SDGsウィークでの取り組み発表などの活動を行っています。令和3年11月末現在、85人が、富山市SDGs推進コミュニケーターの認定を受けています。
養成講座では、中学生から高齢者まで、さまざまな立場の市民が集まり対話することで、自分とSDGsのつながりや自らできることを考えます。
講座で学んだことを生かして、一定期間の間に「実践」した方に、認定証を渡しています。
令和3年度は、学生、一般、企業にそれぞれ対象を分け、より実践につながるよう、内容を変えて実施しました。
企業を対象とした回では、どのように企業の強味を生かし、異業種との連携を進めるかを、カードゲームを通して体感しました。
認定後も、定期的に集まったり学んだりできる機会を用意し、皆さんの取り組みをサポートしています。
また、自由に情報交換ができるように、フェイスブックの専用グループページを開設し、連携の強化を図っています。
富山市SDGs推進コミュニケーターを対象とした交流会が、まちなか総合ケアセンターで開催されました。
「やりたいことを見つけよう!」「仲間を見つけよう!」をテーマに、多様性、健康、食品ロスなど、関心のある課題ごとにグループに分かれ、課題についてのそれぞれの悩みを共有し、これからの活動について一緒に考えました。
(福)宣長康久会
社会福祉士
大沢野地域の社会福祉法人で、地域貢献担当として、高齢者、障害者、不登校の子どもなどが住みやすいまちづくりに取り組んでいます。福祉の枠を超えた横のつながりが必要だと感じたことがきっかけで、養成講座を受講しました。
今年のSDGsウイークでは、大沢野・細入地域の方を対象に、SDGsカードゲームなどを通してまちづくりについて考える企画を行います。
今後は、福祉団体や企業と協力することで、地域のために始めた取り組みを、市や県全体へと広げていきたいと考えています。
ホームページ
SDGsの推進に向けて、ともに取り組んでいただけるサポーター(個人、市民団体、NPO法人、経済団体、企業、教育機関など)を募集しています。SDGsに関心がある、SDGsに関する活動に取り組む意欲がある、または現在取り組んでいる方や団体は、SDGs未来都市とやまホームページ(https://sdgs.city.toyama.lg.jp/)から、サポーター登録をお願いします。
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鈴木福さん
パークマンサーさん
土肥恵里奈さん
SDGsを身近な「自分ごと」として感じ、行動につなげてもらうため、市内各地でさまざまなイベントを開催します。
俳優の鈴木福さんによるゲストトークや、藤井市長とのパネルディスカッションを通して、SDGsについて考えます。オンラインでのライブ配信も行います。
高校生や大学生などが主体となってSDGsの推進に取り組む市内外の団体が集まり、活動状況を共有し、未来へのアクションへつなげます。オンライン配信も行います。
富山市SDGsトークカフェ
子ども・高齢者・障害者など、誰もが生きやすい「地域共生社会」を実現するために必要なことを、講師、参加者の皆さんで語り合います。
富山えごまを使ったスパイスカレーづくりを通して、“美味しく”“楽しく”地産地消を体験します。パークマンサーさんがキャプテンとして参加します。
各イベントの詳細や、期間中のその他のイベントについては、ホームページ(https://sdgs.city.toyama.lg.jp/)をご覧ください。