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アメイジングトーク⑲ 語る! 深める!AMAZING TOYAMAアメイジング トヤマ

富山の誇る山と、登山者の安全を守り続ける。

写真:無線ネットワークで連絡する五十嶋さん

無線ネットワークで連絡する五十嶋さん

山の雄大さに魅せられて。

 山小屋の仕事を手伝うために、初めて薬師岳に登った時の感動は、今でも鮮明に覚えています。目の前に広がる雄大な山々の美しさに、深く心が突き動かされたのです。山小屋を一生の仕事と決意した高校2年生の夏でした。
 高校を卒業し、18歳の時に父が営む薬師岳麓の山小屋で働き始めて、63年。これまでに、この山を何千回登ったでしょうか。登山道にある石一つ一つも覚えているほど、山と共に人生を歩んできました。

登山者の安全を第一に。

 山小屋の仕事は、登山者の受け入れだけでなく、安全な登山のための登山道整備、遭難救助など多岐に渡ります。さらに事故を未然に防ぐため、富山市域の10軒の山小屋を無線ネットワークで結び、登山シーズンの毎日朝夕2回、登山者の入込数や動向、登山道の状況などを共有しています。予定の登山者が到着しない時は捜索に出るなど、山域全体の安全を見守ります。遭難防止のために、ここまでやっているところは全国でも他にはないと思います。
 安全な登山への意識が高まったきっかけは昭和38年、愛知大生13名の薬師岳登山中に起こった遭難死亡事故です。当時「やらねばならない」という責任感で懸命に捜索に当たり、10カ月かかって全員を引き上げたという悲惨な事故でした。その後、事故の教訓から、「富山県警察山岳警備隊」と「薬師岳方面遭難対策協議会(遭対協)」が発足し、山小屋と警察、遭対協の連携体制が確立しました。夏場は太郎平小屋を救助基地として両隊員が常駐し、登山者の安全確保と迅速な事故対応が可能となりました。山は美しいだけでなく、時には恐ろしい姿を見せます。だからこそ、登山者の安全を守るのは山小屋の使命。遭対協が来年50周年を迎えることを機に、さらに連携を強めていこうと決意を新たにしています。

写真:五十嶋博文さん プロフィール

五十嶋博文(いそしま ひろふみ)さん
旧上新川郡大山村(現富山市大山地域)生まれ、81歳。五十嶋商事(有)代表、薬師岳方面遭難対策協議会救助隊長。太郎平小屋など複数の山小屋を運営する。

富山の山と自然を次の世代へ。

 山小屋を営んでいてうれしい瞬間は、美しい山に感動する登山者の生き生きとした顔を見る時です。また、登山者との交流が広がるのも楽しみの一つです。私も、山を愛する人々と出会えたことが一生の財産となっています。
 登山の楽しさを子どもたちへと伝えていくのは、私たち大人です。自然と触れ合うきっかけを作り、共に楽しみ、共に成長を喜び、素晴らしい富山の山と自然を次の世代へ受け継いでいかなければならないと常に思っています。

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この連載では、富山で活躍するさまざまな方の「アメイジング(驚くほど素敵)」な富山について掲載します。また、WEBサイトでは皆さんのアメイジングなエピソードも募集しています。

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[問い合わせ] 広報課 電話:443-2018