富山県出身の漆芸家・川西重澄は、昭和49年に同郷の漆芸家・尾長保に師事
し、漆芸家としての一歩を踏み出しました。昭和54年からは、代表作である蘭
をモチーフとした『らんぶ』の制作に取り組み始め、以後は多くの美術展で受
賞を重ねながら、現在も出身地である富山市を拠点に精力的な作家活動を続け
ています。川西の作品の多くは、身の回りにある自然の草花や風景を題材とし
ており、対象を繰り返しスケッチすることで生まれる洗練された文様デザイン
と、塗料としての漆の特長を最大限に活かした色彩表現に定評があります。ま
た、ときにはガラスなど漆以外の素材にも着目し、造形素材として自身の作品
に大胆に取り入れるなど、従来の漆芸の枠に囚われない奔放な作風でも知られ
ています。
令和元年に「重治」から「重澄」へ改名したのを機に、川西は長年所属して
いた複数の芸術団体を離脱し、市井の漆芸家としてこれまで以上に自由な創作
活動を展開し始めました。以来、創造の世界にありのまま身を委ねる『らんぶ』
の世界観は、さらにその洗練の度合いを深めつつあります。
本展では、屏風やパネルなどの平面作品、茶道具や食器を中心とした実用品、
鑑賞を主眼に置いた立体作品など、川西がこれまで手掛けてきた仕事の中から、
代表作約40点を選んで展示します。漆芸を通じて普遍の美を追い求めてきた川
西の、およそ半世紀にわたる仕事の全貌を振り返り、今後の新たな展開を見据
える貴重な機会となれば幸いです。
◇ 会 期 令和6年10月12日(土)~ 12月1日(日)
※会期中無休
◇ 開館時間 午前9時~午後5時(入館受付午後4時30分まで)
◇ 場 所 富山市佐藤記念美術館
→交通アクセスはこちら
◇ 観 覧 料 大人 400円 高校生以下無料
◇◇ 記念講演 ◇◇
「漆の現代に挑戦する―川西重澄の魅力」
講 師 武田 厚
(美術評論家、多摩美術大学客員教授、本展企画監修者)
日 時 令和6年10月12日(土)午後1時より(40分程度)
会 場 当館講堂
※事前申込不要、聴講無料
◇◇ 川西重澄による作品解説 ◇◇
日 時 令和6年10月12日(土)午後2時より(1時間程度)
会 場 当館展示室
※事前申込不要、要観覧券
◇◇ 学芸員によるショート解説 ◇◇
日 時 令和6年11月3日(日・祝)
①午前10時より ②午後2時より (いずれも30分程度)
会 場 当館展示室
※事前申込不要、聴講無料