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富山城の鏡石5石のうち3石は早月石と同じ計測値が得られています。慶長期の調達であることを示す刻印のある四角形の鏡石は、鉄分の溶出したいわゆる「サビ御影」の花崗岩で、計測値が250から370×10-5SIでした。これは、早月石の分布より小さく、早月川以外の産地を推定する必要があります。前田利長による慶長期の石材調達は、加賀・能登・越中三か国領内全域において行われていることから、このため、石川・富山全域を候補地になります。 |
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本丸御殿跡付近から出土した、踏み石とみられる花崗岩は、細粒で、20から24×10-5SIと極端に小さく、チタン鉄鉱系花崗岩とみられます。北陸地域は磁鉄鉱系花崗岩の産出地であり、この踏み石は、西日本から調達されたと推定されます。 |
肉眼観察と計測値から、この石材は、瀬戸内海の島、岡山県岡山市東区犬島産の「犬島石」の可能性が高いといえます。犬島石は、大坂城や江戸城の石垣石材として遠くまで運ばれました。この石が犬島石とすれば、江戸時代の日本海側への遠隔地石材の流通を考える上で、たいへん貴重といえます(トピックス今日の城址公園整備(1)へリンク)。 |
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これまで富山城で使われた花崗岩は、早月石と推定していましたが、用途によって別の地域の石材が使われていたことが明らかになりました。 |
(古川) |
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