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これまで知られた石材は、17種類があります(表1)。 |
この表は主に中世期のもので、近世には需要の多様化と数量の増加により、産出箇所が増えました。 |
石材には、大別して堆積岩・火成岩があります。堆積岩には凝灰岩・砂岩、火成岩には安山岩・花崗岩があります。変成岩については除外しています。 |
凝灰岩 |
富山県内には庄川上流産金屋石(別称庄川金屋石)が産出し、近世に呉西地域において多用された。近年まで切出しが続いていた。越前笏谷石に近似し、金沢城・城下町内でも辰巳用水導水管(樋石)として多量に消費されたという。 |
加賀滝ケ原石の搬入も一部認められています。 |
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砂岩 |
中世から高岡氷見海岸部に分布する石灰質砂岩が広く流通しており、射水・高岡・氷見から能登方面に濃密に分布します。海岸沿いを中心に県東部にも広く分布します。運搬に舟運が利用されたことが推定されます。17世紀になると、八乙女山麓から「井波石」と呼ばれる砂岩が切出されるようになり、文献記録も残されていますが、石切場はまだ見つかっていません。 |
安山岩 |
常願寺川産の角閃石を多量に含む立山天狗山石は、柔らかく風化しにくい性質から、この地域において最も優良な石材として大量消費され、また中世石造物にも多く使われました。常願寺川河川敷では転石を容易に得ることができます。 |
搬入石材としては金沢城石切丁場である戸室山の戸室石があります。 |
神通川産の神通川石は、斜長石を多く含み、青っぽい石なので容易に判別できます。 |
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花崗岩 |
県内山岳・山間部に広く分布し、河川に流れ出て河川敷で転石として採取できます。河川ごとに特徴が異なるため、河川の同定が可能なものがあります。早月川上流は花崗岩産地として知られ、近世には富山城・高岡城の城郭石垣に多く使われました。昭和後期まで小型石材や神社石造物が製作されており、その石切場跡も残っています。 |
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表1.地域石材・搬入石材一覧 |
区分 |
名称 |
岩質 |
原産地・獲得地 |
原石獲得形態 |
石造物種類 |
備考 |
堆積岩 |
凝灰岩 |
金屋石 |
緑色凝灰岩 |
砺波市庄川町 |
岩盤採掘 |
寺社石造物・導水管・井戸枠・石仏・墓石・建築物資材等 |
石造物研究会 |
笏谷石 |
緑色凝灰岩 |
福井県福井市 |
岩盤採掘 |
寺社石造物・井戸枠・石仏・墓石・建築物資材等 |
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滝ヶ原石 |
緑色凝灰岩 |
石川県小松市 |
岩盤採掘 |
寺社石造物・建築物資材等 |
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砂岩 |
猪谷石 |
中・細粒 |
神通峡 |
山中転石・河川転石 |
寺社石造物・石仏・墓石・石垣等 |
石造物研究会 |
太田石・岩崎石 |
石灰質・粗から中粒 |
高岡市海岸部 |
岩盤採掘 |
古墳石室・石仏・墓石・寺社石造物・石塔・城郭石垣等 |
石造物研究会 |
薮田石 |
石灰質・細粒 |
氷見市海岸部 |
岩盤採掘 |
寺社石造物・石仏・墓石・城郭石垣・石垣等 |
石造物研究会 |
火成岩 |
安山岩 |
立山天狗山石 |
角閃石安山岩 |
常願寺川 |
河川転石 |
寺社石造物・石仏・墓石・城郭石垣・石垣等 |
石造物研究会 |
谷川石 |
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常願寺川支流 谷川 |
河川転石 |
石仏等 |
石造物研究会 |
八川石 |
安山岩・デイサイト |
常願寺川 |
河川転石 |
寺社石造物・石仏・墓石・城郭石垣・石垣等 |
石造物研究会 |
神通川石 |
安山岩・デイサイト |
神通川 |
河川転石 |
石塔・石垣等 |
石造物研究会 |
戸室石 |
安山岩・デイサイト |
戸室山周辺 |
山中礫 |
寺社石造物・石仏・墓石・城郭石垣・石垣等 |
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花崗岩 |
早月石 |
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早月川 |
河川転石 |
城郭石垣 |
石造物研究会 |
伏木石 |
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神通峡 |
山中転石 |
石垣石材(神社石垣) |
近代か? |
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(古川) |