●東北縄文時代中・後・晩期人女性集団と他地域縄文時代早・前期個体標本 |
小竹貝塚1号人骨が最も似ていた東北縄文時代中・後・晩期人女性集団に対して、他地域の縄文時代早・前期個体標本はどの程度似ているのかを見てみると、北海道の北黄金K13(女性)[T.P.=91パーセント]と長野の湯倉(女性)[T.P.=79パーセント]も、小竹貝塚1号人骨と同程度かそれ以上に類似していた(図1)。 |
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図1.東北地方の縄文時代中・後・晩期人女性集団平均値から各個体標本までのD2距離。 |
(T.P.は頭蓋計測値12項目に基づく典型性確率。) |
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●北黄金K13と外国の縄文時代後・晩期相当期の集団 |
さらに、東北地方の縄文時代中・後・晩期人女性集団に最もよく似ていた女性個体標本、北黄金K13は、日本列島の中ではそうであったが、外国の縄文時代相当期集団も考慮に入れると、東北縄文人集団よりも中国の安陽青銅器時代人集団[頭蓋計測値10項目に基づくT.P.=98パーセント]や東南アジアの新石器−鉄器時代人集団[9項目に基づくT.P.=89パーセント]にもっとよく似ていることが示された。 |
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●東北地方縄文時代前期個体標本と縄文時代中・後・晩期人集団 |
小竹貝塚1号人骨が最も似ている縄文時代中・後・晩期人集団がいた東北地方の、縄文時代前期標本である青森の古屋敷女性個体は、東北の中・後・晩期人女性集団よりも山陽の中・後・晩期人女性集団に似ていた[10項目に基づくT.P.=88パーセント]。 |
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●山陽縄文時代前期人と東南アジア新石器−鉄器時代人 |
青森の古屋敷女性個体が最も似ている縄文時代中・後・晩期人集団がいた山陽地方の縄文時代前期個体である岡山の羽島2男性個体は、日本列島内の縄文時代中・後・晩期人集団よりもはるかに東南アジア新石器−鉄器時代人男性集団[9項目に基づくT.P.=76パーセント]に似ていた。ただし、北黄金K13とは違って中国の安陽青銅器時代人集団には全く似ていない[10項目に基づくT.P.=2パーセント]。 |
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以上が、今回、小竹貝塚1号人骨の頭蓋について行なった統計学的分析の概要である。 |
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