富山城の石材
(1)花崗岩
1.サビ

花崗岩には、茶色に変色した部分をもつものがあります。この茶色の部分は、鉄分が多い部分で、キズや節理面から鉄分の多い水が入り込んで付着したことが原因です。

このような茶色に変色した面を持つ花崗岩は、サビ御影と呼ばれ、味わいのある風情から現在では人気のある石種となっています。

ところが、石割を行う側からみると、サビの存在は石のキズを示すことから、敬遠される要素となり、場合によってはサビの部分は積極的に捨てられたこともあったようです。

富山城でもサビ御影の石材は多く見られます。そのような性質の花崗岩は当時敬遠されず、むしろ多用されたことを示しています。

石面にサビを見せる石材は、鉄門石垣の通路奥にある鏡石2石に見られます。これは遠くからも目立ち、装飾的効果を狙ったものかもしれません。しかしその他の石材の石面にはほとんどサビはみられません。

石材のなかには、矢穴面にのみサビが発生しているもの、割面にサビが広がっているものも存在します。このことから、サビは石積後にも発生していることがわかります。
(古川)
サビ御影石材
サビ御影石材
キズとサビの関係
キズとサビの関係