おわら風の盆 祭りがつなぐ町人の文化と誇り 2021年10月5日

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ページ番号1002972  更新日 2023年1月6日

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9月に入ると朝夕は爽やかな風が吹き、夜には秋虫の鳴き声が心地よく響き渡るようになった。自宅周辺の田んぼでは、たわわに実った稲穂が頭(こうべ)を垂れ今か今かと収穫を待つ、そんな季節がやってきた。例年ならば、「二百十日の風」の盆としても親しまれている富山を代表する祭り、「おわら風の盆」が開催される季節でもあった。

自宅が八尾地域に近接していることもあり、子どもの頃は親に連れられ、中学・高校の頃は友達と自転車に乗って、殆(ほとん)ど毎年のように訪れていた。そして年を重ねるにつれ感じ方が変わっていく「おわら」に魅了され続けてきたのである。自分にとっては大変身近でもあり、県内外からも毎年多くのファンと観光客を集めて開催されていた「おわら風の盆」が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2年続けて中止となったことは、本当に残念でならない。

ところで、毎年9月1日から3日にかけて行われる「おわら風の盆」の起源は、江戸時代元禄15年(1702年)にさかのぼると言われる。「越中おわら節」の唄い手の哀愁をおびた唄声とお囃子(はやし)、地方(じかた)の奏でる三味線や胡弓・太鼓の織りなすしらべに、何とも言いようのないもの悲しさを感じる。舞台踊りも華やかで素晴らしいが、日が暮れたころに何処(どこ)からともなく湧き出てきた踊り手たちが、各町内を練り歩く「町流し」や、地方を囲み輪になって踊る「輪踊り」は、八尾旧町の落ち着いた街並みと相まって、ここでしか味わえない風情を醸し出す。「日本一美しいお祭り」と評する人がいるのも、うなずけるのである。

そして、「おわら風の盆」を訪れる度に、祭りを継承している方々の情熱、長い歴史と伝統に裏打ちされた八尾の誇り、未来につながる人々の絆を感じさせられるのである。

さて、県内にはほかにも長い歴史や伝統を持つ行事や祭りが数多く残っている。これらの「伝統ある行事や祭り」を未来へ継承していくことは、地域が有する有形無形のかけがえのない財産を未来へ繋(つな)いでいくという意味で、今を生きる私たちの大きな責任でもある。そのためにも、伝統を引き継ぐ担い手の育成、その行事や祭りに関わる交流人口・関係人口を如何(いか)に増やしていくかが問われている。そして、多くの人々を魅了し愛され続ける「富山の伝統ある行事や祭り」が、コロナ禍を乗り越え再開されることを心から願うのである。

写真:祭りの様子
人々を魅了する「おわら風の盆」

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