民主主義は何処へ行くのか 2022年8月5日

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ページ番号1002982  更新日 2023年1月6日

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金沢市での視察を終え名古屋市に向かう車中、「安倍晋三(あべしんぞう)元首相が、奈良県での選挙演説中に銃撃され心肺停止状態である」との、わが目を疑う報道に接した。何とか一命をとりとめてほしいという思いも空(むな)しく、同日夕刻にご逝去の報道が流れた。外交・内政に大きな功績を残された故安倍元首相の御霊(みたま)に心から哀悼の誠をささげたい。
さて、民主主義の根幹である選挙活動中に、言論の自由を殺人行為で封じ込めるという決して許されることのない蛮行に、やり場のない大きな怒りと深い悲しみをおぼえたのは自分だけではないだろう。容疑者の身勝手な犯行に同情の余地はない。一方でこの事件は、現代社会の孤独や孤立・ネット社会が引き起こす今日的な社会問題への対応という大きな課題を私たちに突きつけた。さらには、あらためて日本における「民主主義とは何か」を考える機会になったのではないか。
日本の現状をみると、長引くコロナ禍やロシアによるウクライナ侵略などの影響をうけた過度な円安、国内での燃料高騰をはじめとする物価高が日々の生活を大きく圧迫している。このような状況下で行われた今回の参議院議員選挙は、日本が直面する少子化・超高齢社会という大きな課題のなかで、私たちの日々の暮らしを守り日本の将来を決める上でも大変大きな意義のあるものだったはずだ。ところが、投票率は前回2019年の参院選から3.25ポイント増えたというものの、全国では52.05%、富山県においては51.37%、富山市においては48.77%にとどまったことは大変残念であった。
選挙権は、政治の担い手である議員や首長を選ぶため、18歳以上の国民一人ひとりに保障された大切な権利である。国政選挙で初めて選挙権が与えられたのは1889年、25歳以上の男子で直接国税15円以上の納税者(当時の全人口の約1%)に限られていた。今でこそ18歳以上の日本国民すべて(全人口の約85%)が性別や収入に関係なく投票権を有しているのだが、20歳以上の男女が選挙権を得たのは、わずか77年前の1945年のことで、当時の全人口の約48%であった。先達は、ひたすらに生活の向上を願い自らの意思を政治に反映するため、血のにじむような努力により尊い選挙権を獲得したのである。私たちはこの努力を決して忘れてはならない。
民主主義とは何か。民主主義の根幹である選挙とは何か。私たちは、憲法により保障された権利を行使するために、社会の一員としての義務を果たしているのか。さて、日本の民主主義は何処へ行くのか。あらためて、今すべき事を自分自身に問いかけるのである。

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