いや、別に普通ですよ(笑)。少し特殊なツールを使えば、ヴェネチアのレースガラスのような複雑なものだって、一人でできちゃう。個人工房で制作している作家は、基本的に一人で作品を仕上げるのは常識ですから。アシスタントを付ける方が珍しいかもしれませんね。
実質5ヶ月間かな。もちろんその前に、図面引いたりとかする期間がけっこうあったんですけど。工事を始めたのは1996年の10月ごろからで、完成したのは翌年の3月ですね。当時はまだ富山ガラス工房のスタッフをやっている時で、仕事が終わった後や休日を利用しながら少しずつ造っていきました。けっこう大変でしたが、富山ガラス工房を辞めたらすぐにこっちに移って仕事を始められるようにと思ってね。 | ![]() |
![]() | そりゃあ、断然キャストですよ。吹きガラスは経費もかさむし、正直いって生活していくという問題がなければ吹きガラスなんてやってませんね(笑)。もちろん吹きガラスにもそれなりの魅力はあるんでしょうが、キャストの方が、自分の性に合ってる気がしますね。 |
いや、とんでもない(笑)。まあ確かに、そういう性格の人っていますけどね。でも僕は違いますよ。計算どおりに行かない部分が最終的に形として現れても、計算が違ったことに対してイラついたりはしませんね。そんなことでいちいちイライラしていたら、神経が持たないですよ(笑)。ガラスってのは人の手を離れたところで形を変容させていきますからね。真面目な話、多少の計算違いは認めちゃうぐらい大らかな心がないと、ガラス作家は続けていけないと思いますね。
(2005年11月、KISHI GLASS STUDIOにて)
岸 厚男
1958年愛知県生まれ。82年、武蔵野美術大学卒業。94年、富山ガラス造形研究所造形科卒業後、富山ガラス工房スタジオスタッフを経て、97年に個人工房KISHI GLASS STUDIOを開設。05年、国内最大のガラス公募展『国際ガラス展・金沢 '95』で大賞を受賞。以後も個展やグループ展で精力的で作品を発表中。工房ではアマチュアを対象に、吹きガラスの制作講座も実施している。
KISHI GLASS STUDIO
富山県富山市東老田773
TEL・FAX 076-434-5251