【麝香】
(ジャコウ)

 麝香は漢薬中最上の貴重薬である。ジャコウジカは中国西部、ネパール、ブータンなどおおよそ4,000〜5,000mの高地に棲み、非常に臆病な動物である。雄の下腹部の陰嚢寄りの箇所に包皮腺を有し、その中に麝香が分泌し、溜っている。麝香に二種あり、その内玉麝香は、球形〜扁円形で袋状腺膿に入ったもので径3〜7cm外面灰白色細短毛を有し、中央に2〜3mmの小孔有し、中に分泌物を有す。他の身麝香は嚢内の分泌物をいい、褐〜黒褐色で大小の塊状粒がある。

[成分]  葉を薬用とし、火で焙って泥状化し火傷や切り傷に塗布。また、腫物に貼布。
[成分]  香気の主成分は環状ケトンのムスコンで1〜2%を含む。古来から麝香は心臓の蘇生薬として用いられ、また不老長寿に、小児のカゼ やノドの薬として呼吸困難や失神などに貴重な薬とされている。和漢薬六神丸に配合され、とくに強心作用をあらわす。