【ハシリドコロ】
(莨ト根) ナス科

 各地の山あい、谷間の木陰、湿地に自生の多年草である。地下茎は太く塊状になり、くびれて横走している。茎は直立し、高さ50cm、まばらに分枝する。葉は有柄で互生し、長さ10〜20cm、幅3〜7cm。先のとがった楕円状卵形にとなり、やわらかく、全縁である。下部の葉の縁にときどき粗鋸師がある。春、葉腋から、暗紅紫色で鐘状の花が1個たれ下がって開く。果実は球形の蓋果で、上半分がふたになり、熟したらふたがとれて種子を飛ばす。
[薬効]  根茎(莨ト根)は鎮痛、鎮痙薬である。使用法は、胃けいれん、腹痛、慢性胃炎、慢性腸炎、せんなどに、根茎のエキス剤であるロートエキスを1回0.05〜0.06gを内服し、また痔疾に坐薬に坐として用いる。根茎は毒性が使わないで、ロートエキスを求めて使用する。用量に十分に注意すること。
[栽培]  比較的むづかしい。6〜7月に葉が枯れるので、この時、掘り上げて植えかえると休眠をやめて成長し始める。しかし、同一の場所では生育しない。植え付けの時期をずらして栽培すると、根茎より根が発達して、4〜5年で、削滅してくれる。種子は発芽しにくい。