【ナンテン】
(南天実) メギ科

 中部以南の温帯の山地に自生し、多くは庭園に栽培の常緑低木である。高さ2m、幹は叢生し直立する。葉は有柄の大型で、数回羽状複葉となって茎の頂上に集まって互生する。小葉はなめらかな革質で、先のとがった披針形の全縁。小葉や葉柄の下にはふくれた節があって、葉柄の基部は茎を抱く。6月、茎の先に白色で6弁の小花を円錐花序に多数つける。果実は球状で赤く熟し、2個の種子がある。他に白い実のシロナンテン、淡い紫の実のフジナンテンがあり、生け花や、正月の飾りによく利用される。
[薬効]  果実(南天実)はせき止め薬として用いる。使用法は、ぜんそく、百日ぜきなどに、果実5〜10gを水500ccで煎じ、1日3回に分服する。  民間では、酒の悪酔い、魚の中毒に、葉や実を煎服する。乗り物酔いに、葉をかんでいるとよい。ネズミの毒には、葉を塩でもみ、その汁をつける。やけどに葉の汁を、切り傷に葉の粉末をつける。白内障の初期に、シロナンテンの実5〜10gを煎じ、1日3回に分服する。
[栽培]  薬用にはシロナンテンがよいが、白い実をまいても、必ずしも白南天にはならないから、繁殖はさし木で行うのが確実である。春の萌芽2週間前が最もよい。適度に日あたりがよく、排水が良好な砂質土壌がよい。