【トロロアオイ】
(黄蜀葵根) アオイ科

 中国原産の一年草で、高さ1.5m。茎は単立し、葉は大きく、長柄があって互生し、5〜9の掌状に深裂する。裂片は細長くて粗い鋸歯がある。夏から秋に、茎頂に穂状花序をあげ、淡黄色の大型の花を横向きに開き、花柄の下に葉状の苞葉をつける。果実は長楕円形でかたい毛があり、鈍い5本の稜になっている。若い果実を食用とするとともに、同属にオクラがある。花はよく似ているが、葉は心臓形で3〜5に浅裂する。熱帯アジアが原産で多く栽培されている。粘液を多く含み、製紙用の糊料として用いられる。
[薬効]  根(黄蜀葵根)は病状の緩和、粘滑薬として用いられる。使用法は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸炎、咽喉炎などに、根5〜10gを水500ccで煎じ、1日3回に分服する。浴湯料に根を用いる。煎液は口内炎、扁桃腺炎などにうがい薬として用い、またやけどに湿布してもよい。
[栽培]  有機質が多く、肥えた風通しのよい所であればよく育つ。半陰地や、木の下草として植えると大きな葉になる。栽培は容易で、鉢植えもおもしろい。繁殖は株分けが一般的で、ふつうは秋の彼岸ごろがよいといわれる。薬用の根茎の採集もこの時期がよい。