【トリネコ】
(秦皮) モクセイ科

 中部の原野、山地に自生し、各地に栽培される落葉の高木である。高さ7〜10m、雌雄異株で幹は直立して分岐する。葉は有柄で柄からの長さは20〜35cm、奇数羽状複葉となって対生する。小葉は5〜7枚で、小葉柄がある長卵形となり、縁に低鋸歯がある。春、葉に先立って淡緑色の細かい花を、散形円錐状にたくさんすける。果実はせまくて長い翼果で、長さ3〜4cm、幅は5〜7mm。トリネコの名は写経のために墨とするのに樹皮をこく煮つめて、共に練って膠(にかわ)のようにしたことから共練濃(ともねりこ)となり、トネリコの名となった。トネリコの若い枝は、木の肌がなめらかで、小鳥の止木よく用いられる。
[薬効]  樹皮(秦皮)は消炎、解熱、収れん、強壮薬に用いられる。使用法は、眼疾(眼中の赤腫、疼痛、熱が続き、涙がよく出て止まらない症状)、熱性下痢に、樹皮5〜10gを水500ccで煎じ、1日3回に分服する。
[栽培]  水があって排水のよい場所を好む。秋に羽のある種子を採集して、すぐ、床にまいておく。翌春に発芽し、秋までに本葉6〜7枚、高さ10〜15cmの小さな苗ができる。さらに2〜3年、苗床で育て、1mぐらいになってから露地に定植する。さし木はむずかしい。