【マオウ】
(麻黄) マオウ科

 中国で東北や蒙古の原野に自生の常緑小低木。高さ30〜40cm、根茎木質で黄赤褐色、まっすぐな緑の茎を出す。茎は分岐し、やや扁平、節多く、葉は細かく小鱗状で対生その基部は合体して茎を包み、鞘状になる。夏には茎の先に小卵形単性花をつける。雌花は裸の胚珠をもち、果実堅果で黒褐色の種子をつける。
[生薬]  麻黄:マオウ属の地下茎。淡緑色〜黄緑色、多数平行の縦溝を有し、節部に2個の鱗片葉が対生し筒状をなす。ほとんど無臭、渋く苦く、微かに麻痺性である。
[薬用]  麻黄は発汗、解熱、せき止めの効果があり、ゼンソク、呼吸困難、関節の諸疼痛、カゼ、気管支ゼンソク、肺炎などに1日3〜6gを水400ccで煎じ1日2〜3回に温服する。民間で汗が出すぎるとき根の粉末に牡蠣(ボレイ)(カキ貝の殻)の粉末をまぜ皮膚に塗布する。
[成分]  全草にアルカロイド0.3%を含み、主成分はフェドリンその他プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、ノルプソイドエフェドリン、エフェドラジンA、B、Cなどが含まれる。エフェドリンは血圧を上げ、発汗を示じ、気管支筋を弛緩し、セキ止め薬としてゼンソクに効き目あり。根のエキスは地上部と相反し、血圧を下げ呼吸増大し、止汗作用を有し抹消血管拡張作用がある。
[栽培]  排水良好なかわいた地に適し、丈夫で旺盛に繁る。酸性土を嫌う。秋に株分けするが、実生とする。雌雄異株なので不熟の種子が多いから注意する。鑑賞用としても面白い。