【アンズ】
(杏仁) バラ科

 中国原産の落葉小高木、早春、葉より先に淡紅色〜白色の5弁花を開く。果実は核果で球形、夏に黄熟し果肉は黄赤色を帯び種子は熟すと果肉からはなれる。種子中の仁を杏仁と称する。果肉は生食のほか干しアンズ、ジャム、缶づめとする。



[生薬]  杏仁:アンズの種子で、やや扁平で先とがり、卵円形で長さ1〜1.5cm、幅0.8cm、厚さ4〜5mm、外面褐色でしわがあり、苦味を有す。水とつきくだくとヘンズアルデヒドの芳香あり。杏仁水として使用するとき青酸含量は0.09〜0.11%に規定されている。またベンズアルデヒドは芳香物資であると同時に、消化管で腐敗発酵防止の作用と去たん作用を有する。
[薬用]  杏仁はせき止めと駆水剤で、胸間の水毒をとる。せき止め薬として杏仁水を用いるが医師の指示が必要。民間では、ワキガに果皮10gと明バン 0.5〜1gを水 200ccで煎じて塗布し、同時にフキの根10gを水 400ccで煎服するとよい。便秘症に半開きの花を陰干し、蜜に浸して貯蔵し、うすめて服用する。
[栽培]  アンズに品種が多く、薬用にはかたい種子中の仁をとり出しやすいものを選ぶ。種子をまくと3〜4年後に開花結実する。栽培は比較的容易。夏、涼しい地方が適している。窒素肥料を多く与えると成長が早い。