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20年後の富山市は、どのようなまちになっているでしょうか?
自身の将来はおろか、数カ月先の社会情勢さえしっかりと見通せないこの時代に、
「そんなことを考えている余裕なんてないよ。」と思う方は多いと思います。
しかし、まちを形づくっているのは、市民である私たち一人一人の選択と行動の積み重ねなのです。
まちのことを考え、行動すれば、今よりもっと住みやすいまちに、少しずつ変わっていきます。
富山市は令和8年3月、今後20年の都市づくりの基本的な方向性を示す「都市マスタープラン」を策定しました。
都市マスタープランが描く、富山市の「まちの未来」について、私たちにできることを一緒に考えてみませんか。

富山市はこれまで、本格的な人口減少や少子・超高齢化社会の急速な進行を見据え、「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくり」に取り組んできました。
これは、鉄道や路面電車、バスなどの公共交通を活性化させ、その沿線に、居住・商業・文化などの都市機能を集め、車に過度に頼らなくても暮らしやすく、住みやすい都市をつくるものです。この取り組みにより、以前よりも公共交通が使いやすくなったことで、駅の周りに人が集まり、歩いて行ける場所やお店が増えました。
しかし、今後、富山市は直面するさまざまな問題により、今までの「あたりまえの生活」を送れなくなるまちになる恐れがあります。

団塊世代の高齢化などに伴い、富山市の人口は20年後に約46,000人(現在の人口の約1割)減少し、世帯数も令和12年に増加のピークを迎えた後、減少していきます。子どもや若者が減少し、経済の停滞が危ぶまれるだけでなく、まちの活気が徐々に失われていく恐れがあります。

新たに家を建てたり、活用したりすることが難しい空き家・空き地が増えています。これらをこのままにしておくと、まちの魅力低下につながるほか、治安や衛生など、生活環境が悪くなる恐れがあります。

上下水道・橋りょうなど、いわゆる社会インフラの老朽化が進んでいます。これらを計画的に更新し、適正に管理しなければ、地震や河川の氾濫などの災害に弱いまちになる恐れがあります。
人口減少に伴い、公共交通の利用者も減少が見込まれています。このため、路線バスなどが廃止されてしまう可能性があり、学生や高齢者など車を自由に使えない人にとって不便なまちになる恐れがあります。

ネット通販など、移動を伴わない買い物が増え、便利になった一方で、身近なスーパーや書店などの利用者減少によりお店がなくなってしまうことで、将来的に日常生活がしづらいまちになる恐れがあります。

▶まちの無秩序な拡大や管理コストを抑制しつつ、今ある資源を活用してまちの魅力を高めたり、市街地の更新を促したりする必要があります
都市マスタープランでは、「公共交通を軸とした都市の再構築による拠点集中型のコンパクトなまちづくり」の実現を目指しています。これまでのまちづくりの考え方や取り組みを引き継ぎながら、使いやすい公共交通と地域の魅力を活かした特色ある拠点を創り出し、住みたい・住み続けられるまちにするため、4つの取り組みを進めます。

行政と交通事業者が連携して、電車やバスなどの公共交通の維持・活性化に必要な投資を行います。公共交通を便利で使いやすくし、お出かけしやすい環境を整えることで、車に過度に頼らなくても生活できるまちを目指します。

駅やバス停の近くに住みやすい環境を作り、生活を豊かで便利にするお店などが集まるよう促すことで、公共交通の沿線で暮らすことへの魅力を高めます。これにより、公共交通の利用を中心とした生活を選択する市民の増加を目指します。

公共交通沿線で、まちなかのほか、スーパーや病院など日常生活を送るために必要な都市機能が集まる地域や、歴史・文化や自然環境がある地域など、それぞれの魅力を磨き上げ、特色ある拠点を創ります。これらを公共交通で行き来することで、より豊かな生活を送れるまちを目指します。

老朽化した道路や上下水道などの社会インフラを効率よく管理・更新し、増えていく使われない土地や建物をうまく使いなおすことで、まち全体に新しい価値を生み出していきます。これにより、いつまでも安心して安全に住み続けられるまちを目指します。

▶行政が主体となって取り組みを進めるだけではなく、市民や事業者の皆さんとともに進めていくことが大切です
これからのまちづくりでは、市民の皆さんがまちづくり活動に参加し、自ら住みやすいまちを創っていくことが期待されています。その参考となるよう、まちの未来を描き、さまざまな人と関わりながら活動を行う2団体に、活動のきっかけや、今後の展望を伺いました。
南富山まちづくりを考える会
会長 松山朋朗さん

南富山駅周辺を「人が集まり、人を育むまち」にするため、住民や地域の学生の皆さんと一緒に活動しています。活動の始まりは、町内の公民館を「みんなが使い、賑わいを生む場」にするにはどうすればよいかを考えたことがきっかけです。この時、まちが抱えるさまざまな問題に気づき、まちを良くするために町内会の有志で立ち上げた勉強会が、現在の活動につながっています。
これまで、地域の中高生や親子の皆さんなどと一緒にまちが抱える問題やまちに対する想いを探ったり、住民の皆さんが気軽に集えるイベントを開催してきました。今後、これらの活動を継続しながら、行政・事業者・学校と住民の橋渡し役として、みんなで自分たちのまちを住みやすく、使いやすく変えていきたいと考えています。

神保地区自治振興会
会長 浅野宗久さん

「神保・自慢の・地場もん」を主に取り扱い、子どもからお年寄りまでが気軽に買い物や交流を楽しむことができる「じじじマルシェ」を神保公民館で開催しています。徒歩での買い物が不便な神保で、日常の買い物をする場所を作りたいという話が住民の中であがったことが開催のきっかけとなり、令和5年度から現在まで13回開催しています。活動が現在まで継続しているのは、地域を良くしたいと思うボランティアやお店の方々に加え、来場される住民の方一人一人に支えられているからだと感じます。このマルシェをきっかけに、隠れた地域の魅力を見つけたり、新たな人と人のつながりが生まれることで、地域への愛着や活力を住民の皆さんとともに育んでいきたいと思っています。

都市マスタープラン検討委員会 委員長
富山大学都市デザイン学部 教授
久保田善明さん

都市のかたちや、豊かさ、暮らしやすさは、行政だけでつくるものではなく、そこに暮らす一人一人の選択や行動の積み重ねによって育まれます。これからの20年、富山市のまちづくりは「市民とともに進めること」が何より重要になります。日々の暮らしの中で「もう少しこうなったらいいな」と感じることを大切にし、小さな関わりから一歩を踏み出してみてください。その積み重ねが、より良い富山市の未来を形づくっていきます。