平成17年11月に、本丸天守台付近において、富山藩が寛文初年に築造した土塁の下から金箔を張った木製品が発見されました。 |
このたび、金沢学院大学美術文化学部文化財学科 中村晋也准教授(専門:保存科学)のもとで、保存処理を行ったところ、これが木製品ではなく、竹製品であることが判明しました。属性は次のとおり。 |
名称 |
金装竹製品 (金箔を張った竹製品) |
大きさ |
長さ10.4cm、幅1.5cm、厚さ0.8mmから1.7mm
(部分品のため元の形は不明。厚さは、内面が腐食しているため不明) |
材質 |
竹。表面に金箔を張っている。 |
接着 |
漆膜が見えず、金箔を膠(にかわ(動物の骨や皮から作ったゼラチン質の接着剤))で接着している可能性がある。 |
形状 |
円筒形に復元できる。現状での外径は約4cm。ただし薄い製品で、金箔側が下になって発見されていることから、旧状の径は4cmより小さかった可能性もある。 |
構造 |
内側の節はくり抜かれたものか? |
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遺跡出土の金箔を張った竹製品は類例がほとんどなく、どのようなものに使われていたのかは不明です。竹工芸品と推定され、煙管の羅宇などの可能性があります。 |
出土した層位及び共伴した陶磁器の年代からみて、この金装竹製品の年代は、前田利長期の富山城(慶長10年から14年)と推定されます。この時期の加賀藩関係城郭における金箔製品には、金沢城慶長期金箔瓦があります。また加賀藩の金箔工芸品の技術は優秀で、現存する工芸品等に類品が存在する可能性があります。
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(古川) |