Q.4発掘したものはどうやって年代を決めるのですか?
A 遺跡から出土した木や紙、瓦や陶磁器に年代が書かれているものがあった場合、そこから特定の年代がわかる場合がありますが、それはごく稀なケースです。

考古学では、このような稀なケースを基準に定め、当時の流行の変化を約25年ごとに追った時間軸を組み立てています。これを「編年へんねん」といいます。遺跡から陶磁器が出土すると、その文様や形をこの編年と比較し、25年の範囲でおよそ何年頃(具体的には何世紀の第何四半期か)をほぼ特定することができます。しかし、5年、10年といった詳細な特定まではできないため、いろいろな種類の組み合わせをみて、幅を狭めていく作業をします。

一方、考古学では最先端科学技術も駆使します。その一つに「放射性炭素年代測定」があります。これは元素記号12の炭素と元素記号14の炭素(放射性炭素)が自然界に存在する比率が決まっており、年代がたつと放射性炭素だけが一定の比率で減っていくという物理的特性を利用し、その割合を計測することにより年代を割りだすという方法です。1,2グラムの炭があれば測定可能です。ただし、この方法も70%の確率で、20年から30年の幅を持って算出されますので、数年の範囲での精密な年代特定は困難です。現在西暦1600年(ちょうど江戸時代の初め)より新しい年代のものは測定が困難でしたが、最近ではその問題も解決されつつあります。

このため、特に江戸時代以後の年代の特定は、もっぱら陶磁器の編年を基準として判定していることが多く、富山城でもこの方法により年代を推定しています。


科学測定の様子
科学測定の様子