富山城石垣の約2割は、灰色や暗赤色の安山岩です。
安山岩は立山カルデラ周辺に多く存在し、常願寺川に流れ出し、河川敷において玉石で獲得することができます。中世以来、県東部ではこの常願寺川産安山岩が多く使われました。彫りやすく風化しにくい特徴をもち、それが好まれたと思われます。 |
常願寺川産安山岩のうち、立山室堂の南の天狗山周辺に産出する、黒い角閃石を多く含む角閃石安山岩は、「立山天狗山石」と呼ばれており、肉眼でも識別が可能な石です(写真1)。このほか、八川石と呼ばれる安山岩もありますが、詳細は不明です。 |
 |
写真1 立山天狗山石(安山岩)の岩相 |
富山城石垣に使われている安山岩の多くは、あまり加工せず、玉石のまま石垣に組み込むことが大きな特徴です。 |
玉石の場合、横の石と接合する面積が極端に少なくなるため、構造上不安定になります。これを軽減するためには石の周囲に割石を多く用いる必要があります。 |
玉石は補修用として用いられたのではなく、慶長期から花崗岩と一緒に使用するために調達されたことが、小型刻印の存在が示しています(写真2)。
|
 |
写真2 刻印のある安山岩玉石(本丸搦手石垣) |
富山城の搦手石垣K面に使われた安山岩104石での帯磁率ヒストグラムは、常願寺川の安山岩でのそれと一致しました。これにより、富山城の安山岩は、常願寺川からもたらされたことがわかりました。 |
|
 |
富山城搦手石垣と常願寺川の安山岩の帯磁率ヒストグラム |
|
(古川) |
|