これまで富山城の鏡石には刻印がないとされていましたが、鏡石5石のうち方形の1石(3)の表面に、小型刻印が初めて確認されました。
石面の左上部に存在し、上端から1尺5寸、左端から3尺の位置にあります。刻印の周囲2尺四方は、細かいハツリにより面整形され、刻印はその範囲に彫られています。
刻印は「 」形で、左右27.5cm(9寸)、上下21cm(7寸)、斜線部長さ30cm(1尺)の大きさです。この形の刻印は、これまで富山城では未検出でした。
鏡石1の解体時には、裏面の密な大型矢穴の存在から寛文期の製作と指摘する声もありましたが、この小形刻印の存在によって、鏡石の製作年代は、前田利長が築城した慶長10(1605)年頃の可能性が高くなったといえます。
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(古川)
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鏡石No.3 |
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鏡石No.3の刻印拓影 |
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