富崎千里とみさきちさと古墳群
標高55mの富崎丘陵の東縁辺部に立地し、東方には婦負ねい平野が広がります。
古墳時代前期に築かれた県内有数規模の古墳群です。
小さな谷を挟んで南北二つの支群に分かれ、南群は14基(前方後方墳1基、円墳1基、方墳12基)、北群は3基(方墳3基)の計17基で構成されています。
このうち南群のみが史跡に指定されています。
 
前方後方墳の9号墳を頂点に、多くの古墳が並んでいます。   古墳に供えられた土師器はじき高杯たかつき器台きだいふた)。赤彩品せきさいひんが多いのが特徴

前方後方墳(9号墳)
古墳群中、唯一の前方後方墳であり、最も高所に位置します。
墳丘の規模や形態、位置から、この古墳群のなかで最も優位に立つ人物が葬られていることが分かります。
全長は34mで、前方部は長さ14m、幅13.7m、高さ1.6m、後方部は長さ20m、幅19m、高さ4.1m、くびれ部は幅6.8mを測ります。
小さな前方部がくびれ部から先端部にかけて傾斜して高まり、前方部と後方部の比高差が2.3mと大きいなど、前期古墳の特徴が見られます。
墳丘の頂部や裾部からは、土師器の壺、甕、高杯、器台、蓋が出土しました。

また、後方部の中央では、赤彩した壺や高杯の破片が集中して出土しました。これらは、棺を埋葬した後の儀式に使用されたものと推測されます。
 
 
円墳(10号墳)
古墳群中唯一の円墳です。
直径20m、高さ4.3mで、墳丘周囲に溝(周溝しゅうこう)がめぐっています。
墳丘の裾部からは、壺の破片が出土しました。
 
 
方墳(6号墳)
長辺15.4m、短辺12m、高さ3.3mの方墳で、墳丘周囲に溝(周溝)がめぐっています。
墳丘の裾部からは、高杯、鉢、壺が出土しました。
富崎千里古墳群のほとんどは、このような方墳です。