国立科学博物館便り(5) 2009年10月

小竹貝塚2号人骨の下から釣り針が出土

2号人骨は、取り上げを終了した。現在、人骨の下の土も机上発掘を続けているのであるが、その中から、釣り針の形をした鹿角製品が出土した。
これは、組み合わせ式の釣り針の先端部の部品である。長さは3cm弱である。先端には逆刺(かえし)が付いて、獲物が逃げないようになっている。反対側は、斜めに切り落とされて、もうひとつの部品とぴったり合わさるように加工されている。
通常の釣り針とはJの字形をしているものが多いが、このような釣り針も存在しているということである。
 
科博・人類研究部長 溝口優司
*埋蔵文化財センター コメント*
出土した位置から推定すると、人骨を埋葬する墓穴が掘られる以前に堆積した土中から出土したもので、墓穴に副葬されたものではないと考えられます。
小竹貝塚2号人骨下から出土した組み合わせ式釣り針 組み合わせ式釣り針の模式図
小竹貝塚2号人骨下から出土した
組み合わせ式釣り針
組み合わせ式釣り針の模式図
(金子浩昌・忍沢成視『骨角器の研究 縄文編T』1986年より引用修正)
※今回出土したのは赤色の部分です