北代縄文館

北代縄文館展示の復元竪穴住居内のようす
この竪穴住居は、発掘された第13号住居を実際の大きさで復原したものです。住居のなかでは、約4000年前のある秋の夕方の北代縄文人のくらしを再現してみました。家族構成は、お父さん、お母さんと子供2人の4人です。
北代縄文館展示の復元竪穴住居内のようすを描いた図
父 お父さん(30才)
ひげをたくわえ、胸にヒスイのネックレスを下げ、明日の仕事に使う磨製石斧の手入れに熱中しています。
母 お母さん(27才)
炉にかけた土器で、近くの湖や海辺で採ってきたシジミとハマグリのおいしいスープを作っています。おしゃれなお母さんは、髪に赤い漆を塗ったくしをつけています。
ミミ お姉さん ミミ(10才)
スープに入れるだんごを作っています。だんごを丸くするのは、難しいようです。
弟 (4才)
お腹を空かし、夕食ができあがるのを待っています。
 
有孔鍔付土器(複製品)   深鉢   深鉢
有孔鍔付土器(複製品)   深鉢   深鉢
当時このように赤色をしていました。ここに置いてあったことがわかっています。   炉(いろり)にかけ、煮炊きするのに使いました。今はアサリのスープを作っています。   煮炊きや食料の保存用
         
木の実   天井からつるしたサケ  
  天井からつるしたサケ  
 

土層展示場

土層展示場概観写真
北代遺跡では、数万年の間に土が1mほど堆積しています。
下の方の黄色の土は、火山灰が堆積した土で、粘土を含んでいます。この土の中からは、旧石器時代の石器が出土します。
上の方の黒色の土は、木の葉などが腐ってできたもので、約10000年前から現代にかけて50cmほど堆積しました。この土は下から、縄文時代の層、平安時代の層、現代の層という順に堆積しています。それぞれの層には、その時代の土器などが含まれています。
黄色の土と黒色の土の境目をきれいにして、色の違いをさがすと、縄文時代の住居や柱の跡の輪郭が見えてきます。
土層展示場内部
土層展示場内部
 

■ 体験広場 ■

体験広場では、縄文土器の野焼きを行っているよ。
 

■ 縄文の森 ■

北代縄文広場に植えられている樹木を紹介します。
東の広場や湧水地周辺には、落葉広葉樹で実のなる樹木を中心に植えています
【ドングリのなる木】
ドングリとはブナ科に属する樹木の種子を指し、縄文時代の人々の食生活を支える重要な木の実でした。遺跡からは保存食として大量に貯蔵穴に蓄えられた状況で遺跡から見つかる例があります。
樹種名 区分 葉や実の形 説明
スダジイ 常緑高木
ブナ科シイノキ属
暖地の山地に生える。10月から11月になるドングリは、椎の実と呼ばれアクがないので生食できる。炒って食べると更においしい。
マテバシイ 常緑高木
ブナ科マテバシイ属
日本のドングリの中で一番大きな実をつける。実は2年をかけて成長し、9月から10月になる。アクがないので生食できるが、茹でたり炒ったりすると更においしい。
シラカシ 常緑高木
ブナ科アカガシ属

低い山野に生える。9月から12月にドングリがなる。食用にはあく抜きが必要。
コナラ  落葉高木
ブナ科コナラ属
雑木林の主木。9月から10月にドングリがなり、そのままでも食べられるが、あく抜きが必要。富山市古沢遺跡では1つの貯蔵穴から200個余りが出土している。
ミズナラ 落葉高木
ブナ科コナラ属
山地から深山に生える。10月から11月にドングリがなる。食用にはあく抜きが必要。
クリ 落葉高木
ブナ科クリ属
栽培される大粒のクリに比べ、山地に自生するものはシバグリと呼ばれ、果実もふた回りほど小粒であるが甘みとこくが強くおいしい。9〜10月に熟する。縄文時代の遺跡から出土したクリのDNA分析結果から、当時栽培を行っていたことが判った。
食用だけでなく、建築材料など様々な用途に用いられ、縄文時代を象徴する樹木である。
北代遺跡では第14号住居から出土している。富山市開ヶ丘中山V遺跡・開ヶ丘狐谷V遺跡では住居炉内などから出土している。

【そのほかの実のなる木】
ドングリとともに縄文人の食生活を支えた木の実です。
樹種名 区分 葉や実の形 説明
オニグルミ 落葉高木
クルミ科クルミ属
川沿いや谷などの湿った場所を好む。果実は房状に実り、夏の終わり頃から熟して落下する。落下した実を土に埋めて果肉を腐らせて、中の堅果を洗って取り出す。食用する子実部分は堅果の殻を割って取り出す。殻は非常に固いが熱を加えると割れやすい。子実は脂質が多く、クルミ油が採れるほどである。クリとともに遺跡からの出土例が多い。
北代遺跡では第14号住居から出土している。富山市開ヶ丘中山V遺跡・開ヶ丘狐谷V遺跡では住居炉内などから出土している。
トチノキ 落葉高木
トチノキ科トチノキ属
川沿いや湿り気の多い谷を好んで生える。実は9月から10月になる。あくが強く、食用にするにはあく抜きが必要。あく抜きしたトチ粉は独特の風味がありトチモチなどに用いる。クリ・クルミと並んで遺跡からの出土例が多い。
北代遺跡では第14号住居から出土している。小矢部市桜町遺跡では、集落の側にトチノキの林があったことが確認されており、トチノミを食料としていたことがわかっている。
クワ 落葉高木
山地に自生し、葉は蚕の餌になる。6月から8月に実が成り、黒く熟した実は甘く、おいしい。
樹種名 区分 説明
ウラジロモミ 常緑高木
マツ科モミ属
日本原産の針葉樹。山地から深山に生える。
エノキ 落葉高木
ニレ科エノキ属
山地に生える落葉高木で、日本では古くから神霊が宿る木と考えられ、社寺や人家周辺に植えられた。10月から12月頃に熟する赤褐色の実は食べられる。
エゴノキ 落葉高木
エゴノキ科エゴノキ属
雑木林や沢沿いに生える。5月から6月に白い花を鈴なりにたくさんつける。8月から9月に熟する果実には有毒のサポニンが含まれる。かつてその麻酔効果を利用して魚とりなどに使われた。
コブシ 落葉高木
モクレン科モクレン属
日本原産で早春に白い花を咲かせる。桜より一足早く開花し春の訪れを告げるため、日本各地でコブシの開花を農作業の基準としている。
ニワトコ 落葉高木
スイカズラ科ニワトコ属
山野に生える。新芽を山菜として利用する。実は生食できないが、三内丸山遺跡で出土した実は酒作りに使用したと考えられている。
ハンノキ 落葉高木
カバノキ科ハンノキ属
低地の湿地や水分の多い場所に生える。湿原のような過湿地において森林を形成する数少ない樹木である。
ケヤキ  落葉高木
ニレ科ケヤキ属
日当りを好み、本州・四国・九州の温帯林や暖帯林で広く分布する。山地の川沿いや海岸などの水辺に生える。木材として多用される。
マユミ 落葉高木
ニシキギ科ニシキギ属
山地に生え、初夏に開花する。9月から11月に実る果実は熟すると淡紅色になり、はじけると中に赤い種子が顔をのぞかせる。
サザンカ 常緑小低木
ツバキ科ツバキ属
温暖な地方の山地に生える。10月から12月に開花する。よく似た花姿のツバキは花弁がくっついており散るときに花ごと落ちるが、サザンカは花びらが1枚ずつ分かれて散る。
ヒラドツツジ 常緑低木
ツツジ科ツツジ属
ツツジの園芸種。5月に大型の花が咲く。
アオキ 常緑低木
ミズキ科アオキ属
山地の樹林下に生え、枝が青いのでこの名がある。3月から5月に開花し、果実は秋に赤く色づき翌年の4月までついている。
ヤマハギ 半低木
マメ科ハギ属
秋の七草のひとつ。日当たりの良い山地に生える。
タニウツギ 低木
スイカヅラ科タニウツギ属
日本海側の雪の多い山地に多く生える。5月から6月にピンクの花が咲き、満開になると枝が枝垂れるほどである。白花もある。 
ニシキギ  落葉低木
ニシキギ科ニシキギ属
山野に生える。枝にコルク質の翼が出るのが特徴。5月から6月に開花し、秋に小さな赤い実がなる。紅葉が美しい。
             

■ 湧水地 ■

体験施設として、湧水地とさらし場遺構を復原的に整備しました。北代遺跡と同時期の縄文時代中期末の長野県栗林遺跡のさらし場遺構出土例を参考にし、実物大で復原しました。ここは、ドングリやトチノミのあく抜き体験ができるように配慮し、湧水点部分では自然湧水と水道水の両方が使用できるようにしました。