岩 版(がんばん) 
 
北代遺跡出土の岩版
 
岩版は、丸または四角い石の表裏に模様が彫込まれたもので、凝灰岩(ぎょうかいがん)などやわらかい石に渦巻きや三角形、円形などの幾何学(きかがく)的文様を左右対称に施します。顔を表現するものもあります。まじないや儀式の用具と考えられています。
北代遺跡出土の岩版は、遺跡南斜面で検出された粘土採掘跡の穴に、壊れた土器・石器・土偶や食物残滓(骨や木の実)などとともに投げ捨てられていました。
現存する長さ8.7cm、幅7.2cm、厚さ4.7cmで、全体の約8分の1が残っていました。文様にはY字状の線と円形の彫込み、側面には三角形の彫込みが見られます。
県内でははじめて岩版が出土しました。北代遺跡の岩版は、縄文時代晩期の東北地方の亀ヶ岡(かめがおか)文化にみられる岩版と共通した特徴をもつことから、亀ヶ岡文化の影響を受けた出土例のひとつとして注目されます。