シリーズ縄文講座(14)
縄文人は魅力的?
 
現在の日本人はのっぺりとした平坦な顔立ちをしています。いわゆる「うすい顔」です。これとは反対に縄文人は、彫りが深くて二重まぶた、まゆひげが濃い、「濃い顔」をしていました。なぜ日本人の顔は、このように大きく変わったのでしょうか。実は縄文時代の後の弥生時代に米作りとともに朝鮮半島からわたってきた多くの人々が、もともと日本列島にいた縄文人と交わり、現在の日本人のような顔ができあがったのです。
縄文人 弥生人
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縄文人 弥生人 顔の移り変わり
このほかにも縄文人と弥生時代以降の人とでは顔つきや身体に違いがあります。
ちょっと口を閉じてみてください。多くの人は上顎うわあごの歯が下顎したあごの歯の前に出てハサミのようにみ合うと思います。ところが縄文人は上下の歯が毛抜きのようにぴったりと噛み合っていました。このように変化したのは、弥生時代以降、米などやわらかい食べ物をたくさん食べるようになり、下顎が退化していったためと考えられています。
頭骨の比較図
頭骨の比較図
そのほかに意外なところでは耳垢みみあかの違いがあります。日本人は耳垢が乾燥している人と湿っている人がいますが、多いのは乾燥している人です。これとは反対に縄文人は湿っている人が多かったようなのです。現在の朝鮮半島の人々は乾燥している人が圧倒的に多く、日本人が弥生時代に朝鮮半島からやってきた人々の影響を受けたことがわかります。
   
縄文人の身長は男性で平均160cm弱と今と比べるとずいぶん低かったようですが、骨太で筋力が強く、今よりずっとがっしりした体格でした。狩りや漁などで、山野を走り回ったり、力仕事をするのに適したたくましい身体だったことがわかります。

ところで、これまで「日本人」とひとくくりにして書いてきましたが、実は同じ日本でも沖縄の人と北海道のアイヌの人は、今でも縄文人の特徴をよく残しているのです。沖縄の人などを見て、彫りが深くて、少し自分たちとは違う顔つきをしているなと感じたことはありませんか?ちなみに、最近沖縄出身の芸能人や歌手・スポーツ選手がたいへん活躍していますが、これも縄文人から受け継いだ独特の顔つきや感性・運動神経があるためかもしれません。縄文人ももし現代にやってきたら魅力的に見えるかもしれませんね。
全身骨格の模式図
全身骨格の模式図
骨の太さは弥生人の方が太い、上腕骨・大腿部の長さが違う
<画像>出典 IPA教育用画像素材集サイト」http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/