明神みょうじん遺跡

須恵器窯での瓦塔生産
(富山地域)
 
瓦塔出土状況   瓦塔
瓦塔出土状況   瓦塔
 
明神遺跡は、富山市南西部に広がる射水丘陵上に立地し、標高は50mから60mです。周辺一帯では傾斜地を利用して奈良から平安時代に製鉄、製炭、須恵器生産が盛んに行われました。
ゴルフ場建設に伴って平成2年に発掘調査を実施しており、V地区では奈良時代末から平安時代初め(8世紀末から9世紀初め)の須恵器窯跡2基、失敗品を廃棄した灰原はいばら、土坑、段状遺構などを検出しました。須恵器窯跡は半地下式の登り窯で、幅約0.9mと小型の1号窯、幅1.8mで床面が3枚確認された2号窯があり、ほぼ同時期の操業とみられます。
また窯の付属施設と考えられる段状遺構、灰原から瓦塔がとうの破片が出土しました。屋蓋おくがい部、軸部、九輪くりん部など約40点あり、窯で焼かれ、焼成失敗品が残されたと考えられます。段状遺構から出土した屋蓋部は幅35cm×33.5cm、表面には丸瓦を表現し、継目が一節あります。裏面は粘土を貼り付け、長方形に削り出して垂木たるきを表現しています。砺波市福山1号窯(奈良時代、8世紀後半)出土の瓦塔では継目が複数みられ、本遺跡の瓦塔は一段階新しい様相を示しています。須恵器窯跡での瓦塔生産を検討できる好資料です。
 
 
関連書籍(表紙をクリックすると全国遺跡報告総覧のホームページが開きます)
  富山市太閤山カントリークラブ地内遺跡群発掘調査報告書2
  富山市教育委員会 1997
『富山市太閤山カントリークラブ地内
遺跡群発掘調査報告書2』