東黒牧上野ひがしくろまきうわの遺跡

大型竪穴住居跡のある縄文集落
(大山地域)
東黒牧上野遺跡は富山市東黒牧地内にあり、熊野川左岸の段丘縁辺、現在の富山国際大学東側に営まれた縄文時代中期中葉(約4500年前)を中心とする集落跡です。周辺には東福沢遺跡、東黒牧上野B遺跡、文珠寺もんじゅじ稗田ひえだ遺跡など同時期の遺跡がまとまって分布しています。
 
学園都市建設に伴って平成元(1989)年、平成6(1994)年に発掘調査が実施され、35棟以上の竪穴住居跡、炉跡、土坑などを確認しました。竪穴住居跡の配置をみると環状にめぐっており、環状集落であったと考えられます。径8.2m×6.4mの楕円形状をした大型竪穴住居跡が1棟あり、10本ある柱穴の外側に棒状の自然石を2つずつ配置した特殊な構造をしています。
 
主な遺物には釣手つりて土器、有孔鍔付ゆうこうつばつき土器、土偶、三角とう形土製品などがあり、磨製石斧、石錘せきすいが多数出土しています。県内でも有数の縄文遺跡として、平成5(1993)年に一部が県史跡に指定されました。
 
また、平成6年に確認された第2号竪穴住居跡(4.6m×4.7mの隅丸方形状)は現地で切り取り保存され、現在は富山市大山竪穴住居跡展示館(大山文化会館の横)内で公開しています。
調査風景 (平成元年)   大型竪穴住居跡
調査風景 (平成元年)   大型竪穴住居跡
 
 
関連書籍(表紙をクリックすると全国遺跡報告総覧のホームページが開きます)
   
  富山県埋蔵文化財センター 1990
『富山県大山町東黒牧上野遺跡A地区
発掘調査概要』
  富山県埋蔵文化財センター 1995
『東黒牧上野遺跡A地区』