朝菜町鳥ノ木あさなちょうとりのき遺跡

平安時代の開墾集落
(富山地域)
朝菜町鳥ノ木遺跡は、富山市堀川町地内に所在し、神通川の支流土川右岸の扇状地上、標高28mに立地する古代・中世の集落跡です。
朝菜町公園整備工事に先立つ試掘・発掘調査で、古墳時代から中世の集落の遺構を検出しました。
平安時代(約1200年前)には、掘立柱建物跡2棟、溝1条、土坑、柱穴などから、須恵器・土師器・灰釉(かいゆう)陶器・製塩せいえん土器・土錘どすい鉄滓てっさい鞴羽口ふいごはくちが出土しました。
掘立柱建物跡
掘立柱建物跡
 
 
平安時代の掘立柱建物
掘立柱建物の1つは、4本の主となる柱穴と補助的な柱穴1基があり、総柱構造と考えられます。建物廃絶時に柱は抜き取られていました。抜き取った後の柱穴中央には複数の土師器が置かれており、建物廃絶時に儀式を行ったと考えられます。
 
 
製塩土器・土錘の意味するもの
製塩土器の出土状況   出土した製塩土器
製塩土器の出土状況   出土した製塩土器
土坑の上部から製塩土器が11個体出土しました。バケツのような平底の深鉢形をしています。塩は海岸部の生産地から土器に入れたまま運ばれました。製塩土器の粘土の成分に違いがあることから、塩の生産地は数箇所あると考えられます。
また、魚を獲る網に付ける土錘も多く出土しています。河川漁で獲れた魚を塩漬けにして保存するために、塩を取り寄せていたのでしょう。
土川右岸には上新保遺跡で奈良から平安時代の大規模な開墾集落が見つかっており、この遺跡も周辺を開墾する集落の一つと考えられます。
出土した土錘
出土した土錘
 
 
関連書籍(表紙をクリックすると全国遺跡報告総覧のホームページが開きます)
  富山市朝菜町鳥ノ木遺跡発掘調査報告書
  富山市教育委員会 2014
『富山市朝菜町鳥ノ木遺跡発掘調査報告書』